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山崎元のマネー経済の歩き方

日本版ISA構想の注目点

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第259回】 2013年1月21日
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 通称「日本版ISA」と呼ばれている、英国のISA(個人貯蓄勘定)に範を取ったと目される少額の投資優遇税制の仕組みが金融庁を中心に検討されており、2014年度から導入されそうだという観測がある。

 現時点で構想されているらしき日本版ISAは、率直に言って使い勝手の悪い、中途半端な制度だ。これは、金融庁の責任というよりは、優遇税制の枠を広げたくない財務省側に問題がありそうだ。

 今のところ、優遇枠に対して個人が使える投資資金が毎年100万円で、制度導入後の3年間に限られる点が不都合だ。最大300万円の投資に対して、10年間運用益が非課税になるにすぎない。しかも、優遇期間中、運用商品を売却して他の商品に乗り換えた場合、税制優遇の対象とすることができない。たった3年で終わる仕組みとあっては、システム投資に取り組む気にならない金融機関が出るかもしれないし、普及にも弾みがつくまい。

 「日本経済新聞」(12年12月19日朝刊)は、投資可能期間の恒久化と、優遇期間の5年への短縮を予想しているようだ(現段階の金融庁の要望でもある)。優遇期間を5年に縮めると、最大で使える優遇枠が500万円までになるので、「金持ち優遇の制度だ」という批判をかわせるし、税制優遇枠が大きくなり過ぎない。

 話が横道にそれるが、期間が5年といっても、顧客が資金を一つの商品に寝かせて売買をしない場合が多いことが予想される日本版ISAに、証券会社や銀行が、顧客の資金をどれだけ誘引しようとするかは見ものだ。同時に、手数料稼ぎの邪魔になると考える支店長がいてもおかしくない。

 ちなみに、本家の英国では、年間の投資可能額が150万円分ほどあり、商品のスイッチングも自由だという。日本の場合、いったん売却して別の商品を買い直す場合は新規扱いとしているが、この制度設計が案外、普及の大きな障害になるかもしれない。

 もっとも、原則として10年ないし5年の期間、同じ商品を持ち続けるインセンティブをつくって、日本の投資家に「長期投資」を根付かせたいという金融庁の教育的配慮(?)にも共感できる面は大いにある。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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