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中国語ができなくても大丈夫 野口悠紀雄の中国経済統計「超」読解法

中国の賃金事情:高い伸び率と大きな地域格差

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第9回】 2013年1月17日
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 中国の賃金上昇がしばしば問題になる。

 実際、中国における賃金上昇は著しい。最近では、15%程度となっている。

 賃金上昇の背後には、中国経済が「ルイスの転換点」を迎えたことがあると言われる。これは、工業化の進展によって、農業部門の余剰労働力が底をついた状態だ。

 中国の賃金高騰は、生産拠点を中国に持つ外国企業にとって大きな関心事だ。これまで日本など世界の先進国企業が生産拠点を中国に移したのは、賃金が低かったからだ。しかし、現在の状況が続くと、あと数年で中国の賃金水準はメキシコを上回るとの推計もある。だから、中国生産の有利性はもう終わりで、賃金がより低いインドやベトナムやミャンマーなどに生産拠点を移すべきだとの意見もある。こうした考えは、しばしば「チャイナプラス1戦略」と呼ばれる。

 したがって、中国の賃金事情を的確にとらえる必要がある。

 また、最近では日本企業は中国を巨大市場として見るようになったのだが、その戦略が成功するか否かは、中国の購買力がどれだけ成長するかによる。それを判断する基礎的なデータは賃金だ。賃金は生活水準を決め、需要を決めるからである。中国でどのような製品がどれだけ売れるかを考えるにも、賃金を正確にとらえる必要がある。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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中国語ができなくても大丈夫 野口悠紀雄の中国経済統計「超」読解法

多くの日本企業が中国関連事業を将来の事業計画の中核に据えている。したがって、中国に関する情報の入手はこれからのビジネスマンにとって重要な課題だ。本連載では、中国語ができなくても、中国語で中国の情報を収集するノウハウを提供する。 

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