フランスの親子を支援する
さまざまなプログラム

 余暇教育センターは、学期中でも学校のない水曜日や夏休みなどに、自宅近くにある学校や公共施設で、文化、芸術、スポーツ、自然体験等の活動をするものです。

 全国で年間285万人の子どもたち(5~19歳)が利用しています(出所:Ovlej、2022年6月)。半日または1日のさまざまなプログラムが用意され、国が認定するインストラクター資格を持つお兄さんお姉さんが、子どもの数に応じ複数で対応します。利用費は自治体が一部を補填し、親の収入により数段階に分けられています。例えばパリ市は10段階で、1日昼食付きプログラムで、0.94ユーロ(約130円)から52.6ユーロ(約7360円)の幅になります(2022年度)。

 ホリデーキャンプ(仏語ではコロニー・ド・バカンス)は、1876年にスイスのチューリッヒで牧師が恵まれない子どもたち向けに行い、その後、フランスでも1883年に開始されています。基本理念は、休みの間、さまざまな家庭環境の子どもたちが共に自然の中で文化・レクレーション・スポーツ、共同生活をすることで社会性と創造性を養うというものです。

 フランス国内で、年間約140万人の子どもたち(5~19歳)が夏場を中心に参加しています。2518の主催団体(NGO、自治体、企業など)が、全国2518の市町村にある3900カ所の施設で1泊2日から2週間までさまざまなプログラムを展開しています(出所:国民教育・青少年省、2021年2月) 。近年は、インストラクター不足や参加費用の高騰などで、参加人数は減少傾向にあるものの、今でも8割の国民から親しみをもたれている国民的プログラムです。

 以上の二つの仕組みが、最も多くのフランスの子どもたちが利用するものですが、他にもさまざまな支援制度があります。

 企業により従業員委員会が一部費用を補填し、社員に前述のホリデーキャンプなどを割引料金で提供したり、バカンス小切手(Go To トラベルキャンペーンのクーポンのようなもの)を支給する制度があります。

 また国が、新型コロナの影響で学習が遅れた主に低所得者層の子どもたち向けに2020年夏から導入した「学びのバカンス(vacances apprenantes)」があります。5億ユーロ(約700億円)の予算をかけ(2020~22年)、無償で100万人の子どもたちが、自宅近くの学校や全国の宿泊付き施設を利用し、補習・文化活動・スポーツを組み合わせた各種のプログラムに参加できる仕組みです。