確かに著名な芸能人が多額の借金を抱えて破産するといった事例は昔から枚挙にいとまがない。それでも、われわれはそういう例を見て「ああ、中にはこういう馬鹿な人もいるんだ」とぐらいにしか考えていない。

 ところが、多額の収入がありながら貯金がほとんどない、あるいは金融資産をあまり持っていないという人は意外に多い。その理由を一言で言えばごく単純な話で、「支出管理ができていない」からである。

 どれだけ収入が多くてもそれを上回る支出があれば、お金は決してたまることはないというのは当たり前の話だ。ところが、収入の多い人に限ってそういう傾向のある人は多いのである。

 例えば企業オーナーや医師、タレントといった人たちは世間的には高収入と思われているし、恐らくその通りだろう。ただ、サラリーマンと違って収入のボラティリティー(価格変動)は大きい。

 すなわち、もうかる時とそうでない時の落差が大きいのだ。さらに、支出の変化率も同様に大きい。例えば自営業やオーナーで言えば、状況を見て大量の商品仕入れが発生したり設備投資をしたり、といった計画外の支出が出てくる。タレントらは自分のイメージを維持しようと、生活にそれなりのお金もかけるだろうから、結果としては意図せざる支出が発生することも多い。

 そういう意味で言えば、むしろサラリーマンの方が資産をためられる可能性は高いと言える。なぜなら収入は安定しているし、支出もそれなりに計画的に管理していれば予定外の支出などはそうそう出てくるものでもないからだ。

 実際に私が今まで見てきた“資産家”と言われるお金持ちの多くは、実は普通のサラリーマンだったというケースも多い。ただ、そのサラリーマンの中でも意外な傾向が見て取れる。