知らないうちに支出が増えてしまう…
元凶はストレス

 前述のように社内的に高い地位にいる立場の人は、部下も多いし、外部との交流機会も多い。結果として飲食の機会は増えるのが普通だ。無論、そのために社内交際費というのもあるわけだが、これとて限度がある。やはり付き合う機会の多い人にとっては、自分のお金を使う頻度も高くなるだろう。

 同様に地位の高い低いは関係なく、外での飲食が好きな人であれば、飲んだり食べたりすることでストレスが解消されるだろうから、そういう機会は多くなる。

 一方、使途不明金とは何かと言うと、普段はあまり使うことを意識していない項目である。
例えばタクシー代、時間が空いた時にふらっと入る喫茶店やカフェで飲むお茶代。そして無意識のうちに毎日寄って買い物をするコンビニでの支出、といった項目である。特に、仕事のストレスの多い人であれば、これらの支出の割合は高くなるだろう。

 実は、この「ストレスの多い人」というのが支出の増える最大の原因だと筆者は考える。

 ファイナンシャルプランナー(FP)の人などは、「支出を見直すべきだ」とか「家計の改善にはこういうことをしなさい」と言うことが多い。それらの指摘の多くは正論だし、間違っているわけではない。しかし、残念ながら机上の空論であることが多い。

 誰もが無駄な支出をしていることはおぼろげながら分かっているだろう。それでも洋服やアクセサリーを衝動買いしてしまうなど、ストレスが多いことが原因で無意識にお金を使ってしまうということはよくあることだ。

 筆者も現役時代にプロジェクトの責任者になって深夜まで仕事をしていた時期があったが、そのストレスは大きなものであった。読者の中にもそういう経験を持つ人はいるだろう。

 朝はともかく、帰りは毎晩タクシーで帰宅をしていた。まだ電車のある時間だからタクシーで帰るのはもったいないのだが、毎日大変なプレッシャーとストレスにさいなまれ続け、1日が終わる頃には精も根も尽き果てていた。そんな状況では、タクシーに乗って少しでも体を休めようという選択肢以外、考えられなかったのだ。