都市封鎖は「少子高齢化の到来」を加速した

 2021年は確かに離婚カップル数が前年比43%も減少し、213万組(数字は中国民政部)となった。当局はクーリングオフ制度を導入したことに自信を深めたかもしれないが、2022年はこれがリバウンドする可能性が十分にあるというのは、前述したような離婚予備軍がいるためだ。

 狭い室内で食料難という極限状態に置かれ、精神不安に追い込まれた夫婦に関係修復の余地はない。しかも失業、借金、住宅ローンと経済的負担も重くのしかかり、多くの家庭がいまだかつてない心理的落ち込みを経験し、未来への展望が描けなくなっている。

 習指導部がロックダウンを断行したことは多くの禍根を残したが、“家庭崩壊”を予見できなかったことはうかつだった。人々から結婚と子孫繁栄の希望を奪い、多くの人々に離婚を選択させることになれば、習指導部が最も望まない「少子高齢化の到来」をさらに加速させるという最悪の結果になるからだ。

 ちなみに、「離婚のクーリングオフ制度」は、離婚手続きを申請した後の30日以内に夫婦一緒に民政局へ離婚証書を取りに行く必要がある。もし、取りに行かなければ離婚申請は撤回されてしまうわけだが、前出の劉さんは「関係が破綻したカップルが、果たして一緒に離婚証書を取りに行けるだろうか」と首をかしげる。

「クーリングオフ」とはいうものの、実質的には習指導部の強制により、離婚しにくい状態にされているにすぎない。国民の間から「自由な結婚、自由な離婚というところにまで国の力が介入するのか」という批判の声が上がるのも無理はない。