最強の小学校低学年の教育#3Photo:PIXTA

中学受験の4教科で最も点数差がつくのが「算数」だ。逆に言えば、算数が得意であればライバルに大きく差をつけることが可能で、社会や理科など暗記科目の時間も確保しやすい。また、「先取りするのであれば算数」と言う専門家も多く、算数オリンピックに挑戦する家庭も増えている。特集『中学受験に勝つ! 最強の小学校低学年の教育』(全7回)の#3では、中学受験における算数の重要性を紹介しつつ、計算力を高める公文式やパズル系算数塾など、それぞれの特徴を紹介する。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

4教科で最も差がつくのが算数
理系ブームも算数熱を後押し

「難関校の合否は算数で決まる」――。論より証拠、ということで下表を見てほしい。

 上表は2022年中学入試の聖光学院、武蔵、渋谷教育学園幕張、駒場東邦の合格者平均点と受験者平均点である。いずれも中学受験では超難関校だが、特筆すべきなのはどの学校も4科目の中で、算数の点差が最も大きくなっていることだ。

 例えば武蔵の場合、算数の合格者平均点と受験者平均点の差は19.5点。4科目合計の合格者平均点と受験者平均点の差は32.5点なので、そのうち算数が6割を占めている。これは紹介した4校に限らず、開成など多くの難関校も同様で、今年だけでなく毎年同じ傾向になっている。

 中学受験分析の第一人者である森上教育研究所の森上展安代表も「昔も今も中学受験の華は算数。特に難関校は算数の出来不出来で合否が決まることが多い」と断言する。難関校の場合、受験者は精鋭ぞろいだけに他の教科では大きな差が出にくいということもある。

 つまり中学受験で難関校を狙うのであれば、「算数の強化」が避けられない。だが、実際は苦手な算数により、合格を逃すケースが少なくない。

 算数が苦手なことは、他の科目にも影響を与える。なぜならば、苦手を放置しておくと、5年、6年で算数に勉強時間を取られる。その結果、社会や理科の勉強時間が確保できないという悪循環につながるためだ。

 近年の大学入試では、就職に強い情報系学部が人気になっていることも、算数ブームに拍車を掛けている。中学受験にとどまらず、算数オリンピックを目指す生徒も増えているが、上位入賞者は筑波大学附属駒場や灘、御三家に合格するケースが目立つ。

 では、算数を武器にするために低学年のうちに取り組むべきことは何か。注目されているのが、算数塾や公文式である。

 次ページでは「東大生の3人に1人が通っていた」(東京大学新聞社・2014年)という公文式から、算数指導に定評のあるエルカミノ、中学受験塾の上位生も通う算数塾であるフォトン算数クラブや宮本算数教室までを紹介。専門家が子どもとの相性や、計算力と思考力のバランスなどについても解説する。