年収160万円まで働けるのであれば
扶養から出た方が良い理由

 それに、もし積極的に働ける機会があり、106万円を大きく飛び越えて稼げるのであれば稼いだ方がずっと得だ。

 もし年収160万円で50歳から10年間働いたとしよう。その場合、税金と社会保険料を差し引いた手取り額は約130万円となる。壁を越えない105万円の収入の場合と比較すると手取りでは25万円増える。つまり10年間で250万円だ。さらに65歳からは毎年、厚生年金(約8.8万円)を受け取ることができる。平均寿命の87歳まで受け取った場合の合計額は、約192万円となる。

 つまり50歳~60歳まで働くことによって、「壁」を意識して働く場合より440万円以上も増えることになる。今後、女性の平均寿命がますます延びる可能性を考えれば、「壁」を気にせず、できるだけ収入を増やすべく働く方が良いということになる。

 もちろん壁ギリギリの水準であれば、一定金額以下に抑えておこうという方策はありかもしれない。しかし、もし今よりも収入を増やすことができるだけの機会や能力があるのなら、どんどん稼ぐべきだろう。