インサイダー IRジャパンの凋落#5Photo:hxdbzxy/gettyimages

今年の株主総会では、会社提案の取締役選任議案で多くの大企業経営者に反対票が投じられた。ダイヤモンド編集部は、時価総額1000億円以上の大企業を対象に、株主の賛成率が低い取締役のランキングを作成。特集『インサイダー IRジャパンの凋落』(全7回)の#5で、上位にランクインした経営者の、ある共通点を明らかにする。(フリーライター 村上 力、ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

株主の支持率が低い経営者の共通点とは?
あの有名経営者も“不名誉”なランクイン

「システム障害のみならず、顧客対応、ガバナンス体制など幅広く影響があったという観点からも、監査委員会、リスク委員会、CROの責任は極めて重大」

 みずほフィナンシャルグループ(FG)の今年6月の株主総会で、会社が提案した取締役選任議案についてこう表明し、一部の取締役候補者に反対票を投じたのは、グループ傘下のみずほ信託銀行である。

 昨年、世間を騒がせたシステム障害の責任を取り、みずほFGの坂井辰史社長とみずほ銀行の藤原弘治頭取が辞任。グループ首脳の責任にとどまらず、みずほ信託銀行は、監査委員会や最高リスク管理責任者らの責任にまで踏み込んだ形だ。それを議決権行使結果の中で公表した。

「2017年のスチュワードシップ・コード改訂を機に機関投資家が個別企業の議決権行使結果を公表し始め、議決権行使が透明化された」。大和総研の鈴木裕主席研究員が指摘するように、同じグループだからといって手心を加えられる時代ではなくなった。

 それは、どんな巨大企業の経営者であっても、何か問題があれば株主から“NO”を突き付けられることを意味する。実際、今年の株主総会では過半数ギリギリの“首の皮一枚”で再任された経営者も少なくなかった。

 そこでダイヤモンド編集部は時価総額1000億円以上の上場企業を対象に、賛成率が70%を切った経営者のランキングを作成した。賛成率が低いほど、株主に不人気の経営者となる。そんな不名誉な上位ランカーたちに、ある共通点が浮かび上がった。