出産前検査写真はイメージです Photo:PIXTA

 胎児に流産リスクを高める遺伝的問題があるかどうかを検査当日のうちに知ることができる、新たな検査法が開発された。Short-read Transpore Rapid Karyotyping(STORK)検査と呼ばれるこの検査では、羊水穿刺や絨毛膜絨毛サンプリングなどの出生前検査で採取されたサンプルや、流産子宮内容物や体外受精(IVF)により作られた着床前の胚生検の組織を用いて、染色体数の異常な増減(異数性)を確認できるという。米コロンビア大学アーヴィング医療センターのBrynn Levy氏やZev Williams氏らが実施したこの研究は、「The New England Journal of Medicine」8月18日号に掲載された。

 染色体異数性は流産、胎児の形態異常や発達遅延の主要な原因である。そのため妊婦健診や不妊治療では、遺伝子異常を見つけることが重要となる。既存の遺伝子検査ツールには、迅速かつターゲットを絞ったアプローチと全ゲノムを調べる包括的なアプローチの2種類に大別される。しかし、前者には限られた染色体のサブセットしか調べられないという問題があり、後者には結果が判明するまでに日数がかかる上に、検査できる機関も限られており、費用も高額という欠点がある。

 こうした問題を解決するために研究チームが開発したのが、STORK検査である。STORK検査では、手のひらサイズのナノポアシーケンサーを使ってDNA配列の解析を行う。今回の報告は、この検査法の検証結果である。