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田中秀征 政権ウォッチ

アルジェリア人質事件から思う
テロをなくすために必要な日本の役割

田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]
【第167回】 2013年1月24日
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 アルジェリア人質事件は、新たに7人の邦人犠牲者が確認され、最悪の結末を迎えている(22日夜時点)。

 未だ全貌は明らかになっていないが、事件の発生から経過を振り返り、私が強く感じたのは次の通りである。

 アルジェリア政府は、人命尊重、人質救出を優先順位3位に置いていたという印象を受ける。①武装勢力の壊滅、②ガス施設の防衛の次だが、ひょっとするともっと優先度が低かったのではないか。「人命尊重の要請にも配慮する」程度に見えた。

 これは政府というより軍の意向だろう。政府が軍に追随するアルジェリア政治の実態がさらけ出された形だが、しかし、政府は逆にそんな見られ方を奇貨として、巧妙に軍と役割を分担して内外からの批判をかわそうとしているのかもしれない。

「すべての責任はテロリストにある」
安倍首相発言に感じる不十分さ

 さて、安倍晋三首相は22日、あらためて事件について「すべての責任はテロリストにある」との認識を示し「世界の国々と連携してテロと戦っていく」と決意を示した。これでは欧米首脳の認識や決意と全く同じである。

 言うまでもなくこの発言は正しいし当然のことだが、どうしても「それだけでよいのか」という気持ちが抜けない。

 われわれ日本人からすると、武装勢力も強硬なアルジェリア政府も、そこに大きな違いはあるにしても双方ともに加害者に見えてしまうのだ。

 9.11テロ以来、「テロとの対決」は世界の至上課題であったが、テロは無くならないどころか拡大している。今回の事件を制圧できても、誰もが今後も続くと思っている。

 要するに、1つの事件を制圧したり、1つのテロ集団を壊滅することも大事だが、それだけでは根本的な解決にはならないのだ。

 それを今度こそ深く考える必要がある。

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田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]

1940年長野県生まれ。東京大学文学部、北海道大学法学部卒業。
83年、衆議院議員初当選。93年6月、新党さきがけ結成、代表代行。
細川政権発足時、首相特別補佐。第一次橋本内閣、経済企画庁長官。
現在、福山大学客員教授、「民権塾」塾長。


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かつて首相特別補佐として細川政権を支えた田中秀征が、期待と不安に溢れた現政権の動向を鋭く斬り込む週刊コラム。刻一刻と動く政局をウォッチしていく。

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