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山崎元のマネー経済の歩き方

運用のため「だけ」の
株価指数の可能性

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第260回】 2013年1月24日
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 以前に本欄で触れたことがあるが、現実に存在する株価指数には、複数の機能がある。これらが混在することによって、単独の機能に対して不具合が生じている。

 株価指数の機能は、控えめに見ても三つある。まず、株式市場の動向を表す統計データだ。もともと時価総額の変化と平均的な株式投資のパフォーマンスをリンクさせた指標であったTOPIX(東証株価指数)はこの性格が濃い。他方、日経平均株価は、人気銘柄で見た日々の市場の動きに敏感な指数と考えるべきだろう。

 株価指数の第2の機能として、デリバティブ取引の原資産としての役割がある。株式の市場変動リスク全般をヘッジしたい場合に株価指数の先物やオプションを活用することができるが、この場合、ベースになる株価指数はデリバティブ商品との裁定取引が容易に正確にできるものであることが好ましい。この点では、個々の銘柄のウエートが明確で再現性の高い日経平均はTOPIXよりも優れている面がある。

 第3に、運用のベンチマークおよびインデックスファンドのターゲットの機能がある。

 株価指数は株式投資の平均的なパフォーマンス(投資利回り)を計算するために用いられ、(多くの場合プロの運用者の)運用成績を評価する基準として活用されている。そして、この比較において、プロの運用者よりもベンチマークとして用いられる株価指数のほうがパフォーマンスがよい場合が多く、それなら「株価指数のパフォーマンスをトレースするサービスをつくろう」という意図から誕生した運用商品がインデックスファンドだ。プロの運用者が運用するファンドよりも、株価指数の(計算上の)パフォーマンスやこれを模倣する運用を行うインデックスファンドのパフォーマンスが優れている理由の大半は、プロが運用するファンドの運用手数料と売買のコストがインデックスファンドに比べて大きいことだ。

 現状では、このコストの差が圧倒的なのだが、多くのインデックスファンドにあって、株価指数の採用銘柄やその投資ウエートの変更が市場で利用されることによる損失が存在する。これは、ベースになる株価指数が裁定取引やインデックスファンドの運用を慮(おもんぱか)ってポートフォリオの変更を予告することに大きな原因がある。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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12社を渡り歩いた資産運用の現場に一貫して携わってきた視点から、「資産運用」の方法をどう考えるべきか懇切丁寧に説く。投資家にもわかりやすい投資の考え方を伝授。

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