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ギリシャ国債、東欧通貨の急落
ユーロ圏を襲う二大リスクの行方

週刊ダイヤモンド編集部
2010年1月25日
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2009年10月の総選挙を境に、ギリシャの09年の財政赤字の対国内総生産(GDP)比率見通しが5・1%から12・7%へと大幅に修正された。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)など格付け会社大手は、ギリシャ国債をBBB+に格下げ、市場には債務不履行の観測すらある。欧州経済の新たな火種となるか。

 欧州連合(EU)財務相会合が19日、ブリュッセルで開かれ、ギリシャに対し、2012年に財政赤字を国内総生産(GDP)の3%以下に抑える計画に肯定的な見方を示す一方、その履行については様子見姿勢を示した。また、財政統計の信頼性を確保することを強く求める声明文を発表した。

 ユーロ圏実質GDP成長率は09年にはマイナス4・0%程度に落ち込んだが、10年、11年にはプラスに転じるだろう。10年前半には景気対策効果が剥落するが、10年終盤以降、設備更新目的の投資需要、英国の住宅価格上昇に伴う消費増加が追い風となるからだ。

 ECB(欧州中央銀行)の利上げを招くような力強い景気回復、1・5%強の潜在成長率を明確に上回る成長率は視野に入らないが、ユーロ圏経済は緩やかに回復する。

 しかし、ユーロ圏経済、金融市場から波乱要因が消失したわけではない。このことを思い出させたのが09年11月のドバイショックである。アラブ首長国連邦(UAE)の政府系会社ドバイ・ワールドが金融機関に債務返済の繰り延べを要請、市場に動揺を与えた。

 もっとも、これがユーロ圏経済に悪影響を及ぼすとは考えがたい。UAE向け貸出債権が全額回収不能というありえない事態を想定しても、同国での貸し出しが多い英国大手金融機関でさえ、現状とほぼ同じ6~7%台の自己資本比率(コアTier1比率)を維持できる。欧州の金融機関は、自己資本の範囲内で対応可能である。

 それでは10年のユーロ圏経済には、どのようなリスクが潜んでいるのか。筆頭はギリシャの債務不履行リスク、次いで東欧通貨急落のリスクが挙げられる。共に可能性は低いが、世界的な金融市場の混乱にもつながりかねないだけに注意が必要である。

ムーディーズ格下げ次第でギリシャ国債発行に支障

 ギリシャ問題は、今後、誰がギリシャ国債を購入するのか、という点に行き着く。

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