第9位 松山商(愛媛県) 49人
 9位の松山商は甲子園大会が始まる以前の明治時代からの名門校。プロ草創期に景浦将(阪神)など数々の名選手を送り込んだ。以後も多くの選手が活躍したが、平成以降の全国的な商業高校衰退の波を受け、2001年夏を最後に甲子園には出場していない。プロ入りも、2005年の梅田浩(創価大、巨人8巡目)を最後に指名がなく現役選手はゼロ。

第8位 大体大浪商高(大阪府) 56人
 8位の大体大浪商高も戦前からの名門だ。しかし、この名前で甲子園に出場したことは1回しかなく、往年のファンには「浪華商」「浪商」として有名。1979年選抜で牛島-香川のバッテリーを擁して準優勝した以降は、あまりプロ入りも出ておらず、今年享栄高に抜かれて8位となった。また、昨年末に村田透が日本ハムを退団したため、現役選手はいなくなってしまった。

第7位 享栄高(愛知県) 57人
 7位は享栄高。今年1人プロ入りし、大体大浪商高を抜いて単独7位となった。享栄高と言われてまず思いだすのが、2019年に亡くなったプロ通算400勝という大記録を打ち立てた金田正一(国鉄・巨人)。高校は中退しているが、公式戦でも登板しているのでカウントしている。他には初登板でノーヒットノーランを記録した近藤真市(中日)など。現役では2019年にセリーグ最多安打174本を放った大島洋平(中日)らがいる。

第6位 熊本工(熊本県) 58人
 熊本工は公立高校としては全国最多、現在まで実業系の高校として続いている学校としても全国一のプロ入り数を誇る。平成以降、高校野球界では公立校と実業系高校の地盤沈下が進んでいる中で、現在まで活躍を続けている数少ない高校だ。古くは川上哲治(巨人)に始まり、多くの名選手を輩出したが、今世紀に入ってからはプロ入りが少なく、現役では広島の山口翔のみ。

 こうして見ると、上位にはどうしても歴史の古い学校が並び、若いファンにはなじみがない。実際、この5校のうち今年指名があったのは大阪桐蔭高だけである。

 一方、ベストテンの下には、東北高(42人+今年1人)、日大三高(41人)、東邦高(39人+今年1人)、東海大相模高(39人+今年1人)、仙台育英高(37人)と現在の強豪校が着実に人数を積み上げており、近いうちにこの一角に食い込んでくるだろう。

 ランキング外の有名校では、天理高が現在26人。意外と少ないと感じる人も多いのではないだろうか。今年は戸井零士(阪神5巡目)、福永裕基(専修大-日本新薬、中日7巡目)と2人が指名されたため、いよいよベスト30に迫ってきた。浦和学院高も現在20人で、今年、蛭間拓哉(早大、西武1巡目)、金田優太(ロッテ5巡目)と2人が指名された。

 甲子園未出場の学校としては、夏の県大会決勝にも進んだことがない茨城県のつくば秀英高から8人がプロ入り。平成だけのランキングを作成すると上位に入ってくる数字だ。甲子園とプロ入りは直接の関係はないことを如実に示している。

 もっと創立の古い学校まで入れると、強豪校の多い神奈川県で甲子園出場を果たせていない横浜創学館高が秋山翔吾(広島)ら9人、同じく神奈川県の向上高が9人、兵庫県の洲本実が8人をプロに送り込んでいる。

 それではいよいよ、ベスト5だ。