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中国語ができなくても大丈夫 野口悠紀雄の中国経済統計「超」読解法

中国の税制や財政支出はどうなっているか

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第11回】 2013年1月31日
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 財政というテーマは、馴染みにくいものだ。しかし、中国を考える場合には、大変重要な意味を持っている。社会主義時代からの流れで公的企業が多く、いまでも共産党一党独裁が続いているので、公的部門の動きが経済全体の動向に重要な影響を与えているからである。

中国において
公的部門の重要性は高い

 中国における公共部門の重要性は、経済危機後の需要拡大策において、印象的な形で示された。このときの政策手段としては、住宅建設を促進するための金融緩和だけでなく、高速鉄道や高速道路の建設など、公共事業の拡大が重要な意味を持った。

 また、中国においては、軍事費の比重がかなり高いと想像される。

 さらに、社会保障の支出がどうなっているかも興味がある。

 公共部門の比重が高いことは、それを賄うための財源が必要であることを意味する。

 社会主義経済の時代には、国営企業の収益がそのまま国家財政に使われた。しかし、市場経済に移行すると、それを税制で代替しなければならない。中国の場合、市場経済への移行はそれほど長い歴史を持つものではなく、また、経済の発展度合いも先進国経済に比べれば遅れている。このため、所得税や法人税などの近代的直接税の課税は難しいのではないかと想像される。しかし、前近代的な流通課税に依存するだけでは、収入も確保しがたいし、所得再分配上も問題が生じる。

 税制は、中国に進出する外国企業にとっても重要な問題だ。改革開放政策が取られた直後には、中国は外資導入のために、外国資本に対して優遇税制をとった。しかし、経済の発展に伴い、外資を優遇する必然性が薄れてきた。他方で税収入を確保する必要もあり、優遇措置は徐々に廃止されてきた。そうなると、免税を前提として立てていた事業計画は狂ってしまう。したがって、税制がどのように変化するかを予測することが必要で、そのためには現在の税制をよく知っていることが不可欠だ。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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中国語ができなくても大丈夫 野口悠紀雄の中国経済統計「超」読解法

多くの日本企業が中国関連事業を将来の事業計画の中核に据えている。したがって、中国に関する情報の入手はこれからのビジネスマンにとって重要な課題だ。本連載では、中国語ができなくても、中国語で中国の情報を収集するノウハウを提供する。 

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