袁氏は「彼らはコロナ前に何度も日本旅行を経験しているリピーター、旅の達人です。以前宿泊したことのある、離れの客室や露天風呂付きの特別客室などに泊まりたいという声もありました。注目したいのはQ7の『5つ星ホテル』という回答が7%しかなかったこと。これまで当社で調査したり、直接お客様から聞いたりした話では、中国人富裕層が欧米の富裕層と決定的に違うのは、日本では5つ星ホテルはあまり希望していないという点です。中国人富裕層が求めているのは“日本ならではの特別な体験”なので、温泉や懐石料理などを堪能できる温泉旅館という選択肢になるのですね」と語る。

 そうした富裕層の希望はQ9にも表れている。「コロナ後に日本で体験したいこと(複数可)」との問いに対し、最も多かったのは「高級日本料理」で145人だった。続いて「スキー」(103人)、「美術館や博物館」(88人)、「登山やキャンプ」(48人)などだった。

Q9「コロナ後に日本で体験したいこと(複数可)」の回答Q9「コロナ後に日本で体験したいこと(複数可)」の回答(出所:行楽ジャパン) 拡大画像表示

 袁氏は「上海にも最近高級な日本料理店が続々と増えており、接待用なら1人3000元(約6万円)という店もあるほどですが、同じくらいのクオリティーなら、日本では上海の3分の1の値段で食べることができ、コスパが非常にいいのです。もちろん、お魚の鮮度も非常にいい。中国ではオーストラリア牛が多いのですが、日本ならもちろん和牛も食べられます。日本酒もブームですが、中国では酒税が高く、日本の5~6倍の値段になり、どんな富裕層でも手に入らない銘柄も多い。そうしたことも背景にあり、もし日本に行くことができるのなら、日本でぜひ高級な日本料理を食べたい、おいしい日本酒を飲みたいと切望する人が多いのです」と言う。