たとえば11月の平日にもかかわらず、伊豆・下田が観光客でかなり混雑しているのです。経済評論家の視点で、どこでチェックをしているかを紹介すると、ひとつはホテルの朝食の混雑具合です。それを見ることで、ホテルがガラガラなのか満室に近いのかの判断ができます。

 もうひとつは、人気の観光スポットの人出です。下田ではペリー来航の碑のあるペリーロード近辺に観光バスが次々とやってきて、観光客を降ろしていきます。帰路に立ち寄った天城の道の駅も浄蓮の滝も同様の状況ですから、その様子を観察することで「観光客が増えているな」と判断できるわけです。

 あくまで私の肌感覚ではありますが、その観点で見ると福井、下田、箱根などでは日本人観光客はこの夏と比較してかなり人出が戻ってきたと感じる一方で、まだインバウンド観光客はそれほど見られません。旅行支援のカンフル剤が効いて国内需要をなんとか喚起している感じです。

 それと比べると、京都は外国人観光客がたくさん目にはつきます。ただ2019年の頃と比較するとインバウンド旅行客の人数は5分の1程度ですので、京都も今のところは主に日本人観光客が観光産業の復興を支えている形に見えます。

年末商戦需要の成否は
「人出」で決まる

 今回の記事のテーマである年末商戦需要の成否に関して言うと、この「人出」が最大のチェックポイントです。そもそも人出は年末商戦参加者数を占う数字そのものです。年末商戦の売り上げ波及効果を考えても、自分や家族分の消費以外に、友人と一緒にどれだけの時間を消費をするかが、需要の押し上げレベルを変えていきます。

 その観点で街歩き的に観察すると、大阪の人出はここで挙げた観測ポイントの中で飛びぬけてエネルギーを感じました。東京と比較すると、非常に興味深い違いがあるのです。私の地元の東京・新宿の人出はコロナ第 8波を警戒してか相変わらず必要最小限という感じです。しかし、大阪・梅田の地下街の人波はそんなことを全く気にしないほど、たくさんの人が外出を楽しんでいます。

 何よりランチの時間帯の行列が、まったく違います。大阪ではどのお店の店頭にも順番待ちの行列ができますが、東京ではそのような行列は人気店だけの話です。明らかに町に出ている人の数が違うのです。この東西の違いについては今後、年末商戦の結果が出てきた際にも再点検してみたいと思いました。

 さて、このような状況下で今年の年末商戦・クリスマス商戦は盛り上がるのでしょうか?