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湯谷昇羊 不屈の経営者【列伝】

喫茶店から始め、外食・レジャーで急成長
消費不振にも屈しない64歳創業者の挑戦

――東和産業会長・東和フードサービス社長 岸野禎則

湯谷昇羊 [経済ジャーナリスト]
【第3回】 2009年11月19日
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高級喫茶店「椿屋珈琲館」やライトフードレストラン「ダッキーダック」などを経営する東和フードサービス。接客重視のパチンコ「UNO」、カラオケルーム「ラミューズ」などレジャー事業を行なう東和産業など東和ジェイズグループは、岸野禎則が創業して育て上げた。バブル崩壊の荒波を間一髪で切り抜け、33年連続増収だったが、ここにきてデフレとリーマンショックによる不況が直撃した。

ロジック組立て、
仮説・実行・検証で成長

岸野禎則
東和産業会長・東和フードサービス社長 岸野禎則

 岸野禎則が起業したのは、大学卒業後、日本ビクターに勤務、4年半のビジネスマン生活の後だった。当時はサイホンコーヒーが流行するなど喫茶店の勃興期だった。両親が小さな喫茶店をやっていたこともあり、喫茶店なら簡単にできると考えてスタートしたのが「コーヒーハウス」1号店で、1974(昭和49)年のことだった。

 岸野はすぐにチェーン展開を始める。当時はチェーン展開をしていたのは居酒屋くらいで、そういう発想の少ない時代だった。しかし、時代が少しずつ変わり、学生が外食するようになってきた。そうした状況を契機に、ケーキやパスタを提供しようと考えたのだが、コックは軽食をバカにして集まらない。

 そこで当初、新橋の店の片隅をケーキ工場にして、素人同然の職人に作らせた。職人たちには「技術がないのだから、一番いい材料を使っていい」と指示した。79(昭和54)年には、両国にセントラルキッチンを稼働させている。

 そして83(昭和58)年には、明るく洗練された雰囲気のライトフードレストラン「ダッキーダック」と、若い女性が気軽に入れるお好み焼・鉄板焼の店「ぱすたかん」をオープンさせる。

 岸野の経営の特徴は、ロジックを組み立てるところにある。時代の変化を敏感に感じ取り、顧客が望んでいるメニュー、雰囲気、接客、価格、店舗レイアウトなどでロジックを組み立てる。そして仮説・実行・検証を繰り返す。

 例えば高級喫茶店。日本人は大正ロマンに憧れる。そこで大正ロマンの雰囲気にこだわったゆとりとくつろぎの「椿屋珈琲店」、「面影屋珈琲店」などを出店する。コーヒー1杯880円と高いが、ここでは顧客の30%が2時間以上滞在している。1分あたりにすると、ドトールコーヒーより安い計算となる。顧客もそのことをよくわかっていて、席が空くのを待つ列ができる。そういう顧客のために、夏は汗取り紙を、冬はホカロンを渡している。

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湯谷昇羊 [経済ジャーナリスト]

経済ジャーナリスト。鳥取市出身、1952年生まれ。法政大学経済学部卒業。1986年にダイヤモンド社入社、2004年週刊ダイヤモンド編集長。2007年営業局長兼論説委員、同年取締役。2008年同社退社。2000年に立命館大学客員教授として教鞭をとる。主な著書に、「迷走する銀行」、「生保危機の真実」、「会社再建」、「立石一真評伝 『できません』と云うな」(いずれもダイヤモンド社刊)、「サムライカード、世界へ」(文春新書)などがある。最新刊は『巨龍に挑む 中国の流通を変えたイトーヨーカ堂のサムライたち』(ダイヤモンド社刊)。


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