日本の多くのメディアが
SHEINを取り上げる理由

 ファッションイベントへの出展で観客が盛り上がったり、実店舗が誕生して入店待ちの行列ができたりすると、「SHEINの盛り上がり」が分かりやすく視覚化される。動画や写真の“素材”ができたことで、多くのメディアがSHEINを取り上げやすくなるのだ。

「メディアにコンテンツの『量産』が求められている今、はやっているものは企画が通りやすい傾向にあります。そんなとき、『絵になる素材もあるから』と、SHEINでコンテンツを作ろうと考えるメディアが増えたのです」

 日本でSHEINが起こしている熱狂は、メディアが取り上げることで本来の盛り上がり以上に大きく見えているという一面もあるわけだ。

 こうしたメディア側の裏事情もあり、テレビやネットで大いに取り上げられるようになったSHEINだが、テレビなら視聴率、ネット記事ならページビュー数といった“数字”が取れるものであることは間違いない。

「冒頭でも話した通り、SHEINは中国のブランドであることを大々的にアピールしません。そうした背景もあって、日本でSHEINについて取り上げるとき、『謎のアパレルブランド』『謎の企業』という呼び方をするメディアが多い。蓋を開けると中国の企業なわけですが、日本だと『メイド・イン・チャイナ』に対して良いイメージを持っていない人も少なくありません。中国に対してネガティブな印象を抱いている人たちが『怪しい企業なのでは?』と批判的な気持ちからテレビ番組やネット記事を見ることで、“数字”につながります」

 中国発の企業であることをオープンにしないうえに非上場であるSHEINは「謎の企業」と呼ばれることも多いが、ロイターによると、ニューヨークでの上場を予定しているという。長時間労働、デザインの盗用、個人情報の漏洩(ろうえい)などが問題視されているが、今後、こうした問題にどう対応していくのだろうか。

「SHEINに限らず、中国のスタートアップ企業の多くは成長を最優先にするので、いろいろな整備が後回しになることは多いのです。しかし、SHEINは上場に向け、会社の体制を整えていくと思いますよ」

 実際、SHEIN Groupの公式サイトに掲載されているコーポレート・ガバナンス強化の取り組みには、顧客データを保護することや、知的財産権を守るために多大なリソースを投入し、知的財産権を侵害する恐れのある製品には適切な措置を講じることなどを記載している。また、サプライヤー工場の賃金について調査した報告書もアップされている。

 浦上氏いわく、「中国企業はアグレッシブで、好機には急速に事業を広げていく傾向がある」とのこと。コロナ禍で急成長したSHEINは、今後、反動で落ち込んでしまう恐れもあるだろう。上場に向けて透明性を高めていくだけではなく、急拡大の反動にどう対応していくかも、今後の課題と言えそうだ。