永遠に安泰な企業はない
市場や仕事を「創る」意識が要

 リカバリーウエア市場への参入を後発ながら決断した理由は何か。理由として石黒社長は、「企業は永遠ではない」ことを挙げた。

 石黒社長がレディースアパレル大手から02年に小島衣料に転職したきっかけは、「次期社長候補募集」の求人を目にしたからだ。今のリーダーシップぶりを考えると社長候補として入社したと思われるが、面接では「社長候補としてはダメ」と言われたそうだ。

 幹部候補として採用されたが、会社からもらった肩書は「マネジャー」。部署は自分1人で半年間、仕事がなく放置された。これが今の経営に生かされているというから、何が幸いするか分からない。今では口癖だが「頭で考えるよりまずは実行。仕事は自分で創る」ことを学んだ。

 紆余(うよ)曲折あったが、社長の椅子を見事に射止め、業績も立て直した。しかし「企業は永遠ではない」という考えは頭から抜けず、新規事業の柱を模索。2年かけて選び抜いたのが、市場が開いたばかりのリカバリーウエアだった。

 天然鉱石を配合した素材に出合ったことが大きなきっかけだ。「生地を腕に掛けただけで『何でこうなるの』と目を見張るぐらい血流が良くなったような実感を受けた」と石黒社長は振り返る。

 仕事のプレッシャーから不眠に悩まされていたが、見事に解消し翌朝の疲れもない。すぐさま事業を立ち上げ、HLコーポレーションを設立し自ら陣頭指揮を執ることにした。「仕事は自分で創る」を実践、持続的成長軌道に乗せた。「企業は永遠ではない」という信念がもたらしたといえる。

【訂正】記事初出時より以下の通り訂正します。
9段落目:独立行政法人医薬機器総合機→独立行政法人医薬機器総合機構
15段落目:アルタモード→アルタモーダ
(2023年2月27日12:23 ダイヤモンド編集部)