年末年始を挟んだ2カ月弱、
新型コロナで亡くなった人は約8万人?

 1月28日に中国疾病予防センターは、1月20~26日の1週間で、新型コロナに感染し、国内の医療機関で死亡したのは6364人と発表した。感染対策が大幅に緩和された12月8日から1月26日までの2カ月弱の死者数は合わせて約8万人となったが、これには自宅で死亡した人は含まれておらず、実際にはもっと多いという指摘もあり、国内外のメディアやSNSではさまざまな臆測が飛び交っている。

 この数字について、葬儀場の職員として働いている呉さんと李さんに尋ねてみた。「日本を含めて海外の多くのメディアは、中国では高齢者を中心にものすごい数の人が亡くなったと報道していた。それは本当? あと、葬儀場に長蛇の列ができている様子も報じられていたけど、あれはなぜ?」

 呉さんの答えは、「自分の肌感覚では、例年同時期に比べると、2割ぐらい増えたと思う」というもの。「もともと12月下旬から春節までは、高齢者の死亡が一番多い時期。しかし、今回はオミクロン株の感染により、高齢者の死亡者数が例年を上回っていたのは事実だ」(呉さん)

 ちなみに、呉さんと李さんが勤める葬儀場は、年間3万近くの遺体を扱っている巨大な葬儀施設である。職員は300人以上おり、告別式用のホールは20以上、一番大きいホールは1000人以上が入る規模だ。

葬儀場の前に長蛇の列が
できていた理由は?

 上海市では、人が亡くなると、親族から葬儀会社に連絡して、自宅や病院から遺体を引き取ってもらい、告別式までの間は葬儀場に安置される。親族は葬儀場と、告別式の詳細や火葬の日程について打ち合わせし、後日、告別式と火葬を行うというのが一般的な流れである。葬儀場で告別式が終わったら、遺体は火葬場に送られる。親族が火葬場に同行するかしないかは選択できるが、大概は同行しない。そのため、日本のように火葬後に親族による収骨という過程はない。お骨はその後葬儀場に戻り、親族が葬儀場でお骨を引き取り、納棺する。

「もともと一年でもっとも忙しい時期な上に、(昨年末から今年の春節にかけては)職員の3分の2が陽性になった。管理職から事務方、食堂の担当まですべての職員を現場に総動員し、みんな帰宅できず職場に泊まり込んでいた。それでも人手がまったく足りず、業務がたまりにたまって、まるで戦場のようだった。遺体を引き取りにいく人手が足りなくなったため、多くの遺体が病院の霊安室やご家庭に長く安置されていた。ネットで拡散されていた、病院の霊安室に遺体が重ねて安置されている写真はそのためだ。通常なら遺体の引き取りは電話一本で済むが、電話の対応もできなくなったので、手続きは葬儀場で行わなければならない。そのため、市民たちが夜中の1時から並び始めた。列が長い時には、200メートル以上先まで続いていたよ」(李さん)

「国のウィズコロナへの政策転換は賛成だが、緩和するタイミングをもうちょっと考えてほしかった。今回は葬儀場の職員が不在のため、告別式もできなくなった。親族がご遺体とまともなお別れができないままで、遺体が火葬された」(呉さん)