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萩原栄幸の情報セキュリティよもやま話

「監視カメラ・防犯カメラ」の運用方法は
十分な議論がされているのか

萩原栄幸 [日本セキュリティ・マネジメント学会常任理事]
【第2回】 2013年2月8日
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 今回は「監視カメラ・防犯カメラ」について考えてみたい。事件報道では、連日のように「監視カメラ・防犯カメラ」の映像・画像が犯人逮捕につながった、といったことが報じられている。裏を返すとそれだけ世の中に「監視カメラ・防犯カメラ」が定着しているということだ。直接的に情報セキュリティに関連する分野ではないが、ネットワークにもつながり、画像解析などビッグデータとしての活用も注目されている分野であり、また、個人情報保護には直接的に関連するテーマでもあり、極めて興味深い。

「監視カメラ」と「防犯カメラ」の違い

 新聞やネットに記載されている言葉はよくみると「監視カメラ」と「防犯カメラ」が混然一体となって使われている(切り分けして使っている可能性もあるが筆者が調査した範囲では不明であった)。不思議だがネットで検索しても「同義語」として解釈されており、一部のサイトには「違い」について述べているものもあるが、ズバリこれが違うとは記載されていない。あっても私見だったり「専門家」でない方には理解ができないと切り捨てるサイトもあった。また「同じもの」と記載しているサイトもある。私見ながら筆者は次のように理解している。

・録画機能は「防犯」は必須だが、「監視」は任意、ない方が多い。
・画面の質は「監視」は文字通り「監視」ができればいいが、防犯は「犯人の特定」まで意識しているので、画質は比較的良いのが普通。また、カメラの向きが操作できたり、ズーム機能やその他高性能な機能が搭載されている。

 本稿では以降「監視カメラ」と総称することにしたい。

監視カメラ大国イギリスと日本の違い

 監視カメラ大国と言われるイギリスでの2010年の監視カメラ総数は約420万台、日本は公式な統計情報自体がないが日本防犯設備協会の推計で約350万台(製造した台数と輸入、輸出台数などから推論したという)となっている。

 イギリスは国民一人当たりの監視カメラの設置台数が世界一といわれるが、1967年に小売店での設置が最初とされ、1975年には地下鉄にも導入されている。いずれも世界で初めてである。ところがここから先に深堀りするととたんに情報が極端に少なくなる。

 昔筆者が調べた資料に早稲田大学法学部水島ゼミのレポートがある(http://mizushimasemi.jimdo.com/発表-合宿テーマ/6-7期-2003年度/にある「街頭監視カメラとプライバシー権」)。10年ほど前のものだが、その資料によると、イギリスでは、設置した拠点での犯罪が35%~90%もの減少となったとの記述がある。日本でも警察が管理している新宿歌舞伎町などの「街灯防犯カメラ」により犯罪は減少している(ただし2012年3月末で791台なので全体の0.02%ほどではあるが)。

 ただし、実は日本とイギリスでは監視カメラの設置状況には大きな違いがある。このことは関係者を除きあまり知られていない。単純な設置台数とかカメラの性能だけで比較していても真実にはほど遠いと筆者は感じている。

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萩原栄幸 [日本セキュリティ・マネジメント学会常任理事]

(はぎわら えいこう)2008年6月まで三菱東京UFJ銀行にて先端技術の調査研究を職務とし、実験室「テクノ巣」の責任者として学会や金融機関を中心にセミナーやコンサルを行なう。現在は日本セキュリティ・マネジメント学会の常任理事であり学会の「先端技術・情報犯罪とセキュリティ研究会」で主査も兼務している。
防衛省、県警本部、県庁、市役所などの講演やコンサルも多数の実績を持ち、特に「内部犯罪防止」「情報漏洩対策」「サイバー攻撃対処」では第一人者であり一般的な「コンプライアンス」「情報セキュリティ」などにおいても平易に指導することで有名。


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クラウド、ソーシャル、モバイル、ビッグデータなど、経営環境をめぐる新たな技術革新が進展するにつれ、企業が対応しなければいけないセキュリティリスクも拡大を続けている。脅威から情報を守るために、ビジネスパーソンがおさえておくべきスキルや、組織におけるマネジメントが関心を持つべき新たな課題まで、「コンプライアンス」「情報セキュリティ」の第一人者が、やわらかく解説する。

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