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萩原栄幸の情報セキュリティよもやま話

【新連載】全米が共感した「スマホ18の約束」で見落とされていること

萩原栄幸 [日本セキュリティ・マネジメント学会常任理事]
【第1回】 2013年1月24日
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 日本テレビの情報番組「スッキリ!!」で紹介され(1月9日)、その後あっという間に有名になったものがある。いわゆる「スマホ18の約束」だ。

 「スマホ18の約束」とは、アメリカのあるお母さんが、13歳の息子にスマホ(このケースではiPhoneであるが)を与えてもいいか悩んだ末に作った息子との間の契約書のこと。その内容が、本当に心から息子を愛し世の中に対処させるために考え抜いたと思われるもので、読む人すべての共感を得たと言っても過言ではないくらいにアメリカでも感動を呼んだものだ。もしこの事実をまだご存じでないなら、是非一度ご覧になって欲しいのでここで簡単にご紹介したい。

 現在、日本語訳をGoogleで検索すると何百種もの亜種がヒットするが、ここでは原文を参照したうえ、筆者の感性に一番近い「Hana.bi」さんのサイトから引用している。(注:下記の条文は原文ママ。それ以外の「→」以降の文章や、条文以外の内容は引用ではなく、筆者によるものである。)

1. これは私の携帯です。私が払いました。あなたに貸しているものです。私ってやさしいでしょ?

 → 母親からもらってしまえば後は「自分のもの」と思い込み大事にしない、紛失する、そういう子どもたちを多く見ているので、契約書でまずはこれは「貸与」しているという宣言はとても良いと感じる。

2. パスワードはかならず私に報告すること。

 → よくPTAや学校の先生方の検討会でも議論になっているところ。結論として、ここは親の権限。はっきりと宣言しているのが良い。

3. これは「電話」です、鳴ったら必ず出ること。礼儀良く「こんにちは」と言いなさい。発信者が「ママ」か「パパ」だったら必ず出ること。絶対に。

 → マナーは自然と学ぶものではない。両親が明確に教えるものだ。

4. 学校がある日は7:30pmに携帯を私に返却します。週末は9:00pmに返却します。携帯は次の朝の7:30amまで電源オフになります。友達の親が直接出る固定電話に電話出来ないような相手ならその人には電話もSMSもしないこと。自分の直感を信じて、他の家族も尊重しなさい。

 → SMSとはショート・メッセージ・サービスで、auの携帯であればCメールと呼んでいるもの。子どもにとっては多少つらい制限ではあるが、書いていることは正当であり原則は原則として守るようにすべきであることは間違いない。

5. iPhoneはあなたと一緒に学校には行けません。SMSをする子とは直接お話しなさい。人生のスキルです。注:半日登校、修学旅行や学校外活動は各自検討します。

 → 学校にスマホを持っていくなと明確に伝えている。しかも電話やSMS(facebookやtwitterなどのSNSも含まれると考えて差し支えない)より、直接会話をしなさいと書いている。これは素晴らしいことだ。まずは会話が大事であると筆者も考えている。また会話を通じて人はその中で様々な学習をするものなのだ。SMSやSNSは人類の歴史の中では、極めて歴史の浅いツールである。まずは会話を学習してから新しいツールに移行する方が安全だし確実であると筆者も考えている。

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萩原栄幸 [日本セキュリティ・マネジメント学会常任理事]

(はぎわら えいこう)2008年6月まで三菱東京UFJ銀行にて先端技術の調査研究を職務とし、実験室「テクノ巣」の責任者として学会や金融機関を中心にセミナーやコンサルを行なう。現在は日本セキュリティ・マネジメント学会の常任理事であり学会の「先端技術・情報犯罪とセキュリティ研究会」で主査も兼務している。
防衛省、県警本部、県庁、市役所などの講演やコンサルも多数の実績を持ち、特に「内部犯罪防止」「情報漏洩対策」「サイバー攻撃対処」では第一人者であり一般的な「コンプライアンス」「情報セキュリティ」などにおいても平易に指導することで有名。


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クラウド、ソーシャル、モバイル、ビッグデータなど、経営環境をめぐる新たな技術革新が進展するにつれ、企業が対応しなければいけないセキュリティリスクも拡大を続けている。脅威から情報を守るために、ビジネスパーソンがおさえておくべきスキルや、組織におけるマネジメントが関心を持つべき新たな課題まで、「コンプライアンス」「情報セキュリティ」の第一人者が、やわらかく解説する。

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