2022年12月、経営者の個人保証に依存しない事業融資を進める「経営者保証改革プログラム」が公表された。2014年に適用開始された「経営者保証に関するガイドライン」をバックグラウンドに、スタートアップ企業の経営者に連帯保証を求めない創業時の融資、民間金融機関への監督強化、(要件を満たした場合の)経営者保証の解除など、経済産業省、金融庁、財務省が連携した施策・指針が盛り込まれた。これからの中小企業支援の柱になる施策として注目されている。(東京商工リサーチ情報部 増田和史)

破産会社の経営者の
約7割が自己破産

“破産会社の経営者”の7割が個人破産、企業融資の「経営者保証」はどう変わる?政府は「経営者保証改革プログラム」で、経営者保証に依存しない融資慣行をすすめる(筆者撮影)

 企業が金融機関から融資を受ける際、経営者がその融資を連帯保証することが慣例のようになっていた。経営者は所有する不動産などの資産を担保に差し出し、さらに自身もその融資の責任を負う。経営者であれば、これが当たり前と受け止められていた。だが、時代が変わり、さまざまな場面で個人保証がネックになっている。

 会社が経営に行き詰まり破産を申請すると、会社の債務を個人保証していた経営者も連鎖的に破産を申請するケースが多い。

 東京商工リサーチが実施した破産企業の追跡調査(2020年度)では、破産会社の経営者の約7割(68.25%)が個人破産に追い込まれていることがわかった。