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あなたが誰かに動いてもらいたい、交渉を上手に進めたいと思うとき、何をしますか?人を動かすために非常に効果的な手段の一つが「褒める」こと。しかし、相手のやる気をアップさせ、上手に動かす褒め方と、あまり効果がない褒め方があるのです。書籍『頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術』の著者が、人を動かす褒め方のポイントを伝授します。(教育コンテンツプロデューサー/株式会社士教育代表取締役 犬塚壮志)

なぜ、「褒める」ことで人を動かせるのか

「○○さんの挨拶は声がいいのかな。なんか気持ちいいよね」
「○○はいつもおいしそうに食べるから、一緒に食事をしているとこっちも楽しくなるね」
「○○先輩、昨日のプレゼン、好感触でしたね。尊敬します!」

 日頃から心がけていることでも、無意識にやっている日常の些細な行動でも、仕事上の出来事でも、基本的に私たちは誰かから褒められて、嫌な気持ちになることはありません。たとえ相手の言い回しに“ちょっとお世辞も入っている?”と感じても、「さすが」「すごい」と言われればうれしいものです。

 これは、褒めるという行為によって、私たちの「承認欲求」が満たされるからです。承認欲求とは、他者や属している集団から自分の存在価値を認めてもらいたいという欲求のこと。私たちは褒められると承認欲求が刺激され、うれしくなり、もっと認められたいとモチベーションが高まっていき、行動しやすい状態になります。

 言い換えれば、「また相手に褒められたい。もっと集団に認められたい。だから、がんばろう」という心理が働くわけです。私たちの誰もが身に覚えがあるシンプルでわかりやすい欲求だからこそ、仕組みを理解して使えるようになれば、その効果は強力です。

 もちろん、交渉の場でも相手を素直に褒めることはプラスに作用します。相手はあなたから自分が認められたと感じ、気分が高揚。結果的に、こちらの提案が通りやすくなったり、こちらの望む方向に行動してくれたり、こちらのために条件を譲歩してくれたりする可能性が高まります。

 つまり、上手に褒めることで人を動かすことができ、交渉がスムーズに進みやすくなるのです。 今回は、そんな「褒め」の持つ強力な効能がさらに増していく、二つの伝え方を紹介します。