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大津波の惨事「大川小学校」~揺らぐ“真実”~

なぜ記者会見に出席したのは委員長だけだったのか
大川小検証委・初会合で抱いた真相解明への懸念

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第20回】 2013年2月13日
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東日本大震災の津波で、多くの児童が犠牲になった石巻市大川小学校。震災からまもなく1年11ヵ月を迎える2月7日に第1回大川小学校事故検証委員会が開かれた。委員長に就任した室崎益輝氏は「行政と被災者と専門家とメディアの4者は対等な立場で協力すること」を所信として表明し、これまで検証対象外にされてきた震災時における学校関係者や市教委の「事後対応」を検証範囲に含めるなど、画期的な成果も得られた。しかし、委員会後の記者会見に出席したのは室崎委員長1人だけ。委員会が終わると、そそくさと会場を後にした他の委員たちに我々は違和感を抱かずにいられなかった。

 第1回大川小学校事故検証委員会は2月7日午後1時から、石巻グランドホテルで開かれた。

 出席した委員6人と調査委員4人は、以下の通り。

<委員>
・数見隆生 東北福祉大学総合福祉学部社会教育学科教授(67歳)
・佐藤健宗 弁護士、鉄道安全推進会議(TASK)事務局長、
      関西大学社会安全学部客員教授(54歳)
・首藤伸夫 東北大学名誉教授(78歳)
・芳賀繁 立教大学現代心理学部心理学科教授(60歳)
・美谷島邦子 8・12連絡会事務局長(66歳)
・室崎益輝 関西学院大学総合政策学部都市政策学科教授
      災害復興制度研究所長、神戸大学名誉教授(68歳)

<調査委員>
・大橋智樹 宮城学院女子大学学芸学部心理行動科学科学科長、教授(42歳)
・佐藤美砂 弁護士、公益財団法人日弁連交通事故相談センター理事、
      宮城地方最低賃金審議会公益委員(48歳)
・翠川洋 弁護士、東北大学法科大学院非常勤講師、
     公益社団法人みやぎ被害者支援センター理事(50歳)
・南哲 神戸大学名誉教授(72歳)

 また、事務局から、進行役の(株)社会安全研究所の首藤由紀所長のほか、文部科学省の前川喜平官房長、宮城県教育委員会の伊東昭代教育次長も同席した。

「遺族に寄り添う」「疑わしきは取り上げる」
室崎委員長による5点の所信表明

 まず、委員長に室崎委員が選出された。室崎委員長の所信表明は、次の5点。

1、公正中立というが、足して2で割るのは中立ではない。亡くなられた方、遺族の方の気持ちに寄り添っていくことがなくてはいけない。

2、普通は“疑わしきは罰せず”だが、(今回の検証は)“疑わしきは取り上げる”形でないといけない。誰が悪いかではなく、問題点をたくさん出すが、どう教訓として生かしていくかが大切だ。

3、委員の全員一致で決めていく原則を大切にしたい。遠慮なく発言していただいて、みんなの意見で、みんなの合意の基に正しい結論を下していきたい。

4、行政と被災者と専門家とメディアの4者は対等な立場でしっかり協力し合わなければいけない。力を合わせてしっかり結論を出していくというスタンスをとっていきたい。

5、いちばん大切なのは、真実を明らかにすること。今回は、覆すことのできない客観的データが存在しない。1つ1つの証言がとても大きな意味を持ってくる。その中で、1つの真実を組み立てていく。最終的には、次の世代につながる教訓を引き出したい。

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


大津波の惨事「大川小学校」~揺らぐ“真実”~

東日本大震災の大津波で全校児童108人のうち74人が死亡・行方不明となった宮城県石巻市立大川小学校。この世界でも例を見ない「惨事」について、震災から1年経った今、これまで伏せられてきた“真実”がついに解き明かされようとしている。この連載では、大川小学校の“真実”を明らかにするとともに、子どもの命を守るためにあるべき安心・安全な学校の管理体制を考える。

「大津波の惨事「大川小学校」~揺らぐ“真実”~」

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