韓国の在来市場写真はイメージです Photo:PIXTA

韓国人の国民性といえば、よく挙がるのが「パリパリ(早く早く)」というせっかちさ。せっかちな韓国人は「待つこと」「並ぶこと」が苦手で、食事や物を買うために行列をするのは嫌いだ、というのが定説だった。ところが最近は、韓国のあちこちで行列を見かけるようになり、「行列ができる店」がテレビ番組で取り上げられて有名になるといった事態が起きている。この変化の裏にあった、韓国社会の変化とは?(韓国在住ライター 田中美蘭)

「行列」するようになった韓国人

 最近、韓国の街角でよく目にする光景が「行列」である。昼時の食堂やカフェ、デパートの高級ブランドの新作商品の販売、マート(大型スーパー)の人気デリ商品など、さまざまな場所でさまざまな物を求めて、人々が並んでいる。

 昨年末のクリスマス、新世界(シンセゲ)百貨店の「堂島ロール」の前には、ケーキを求める人たちの長い列が連なっていた。大阪に本店(店舗名は「モンシェール」)がある堂島ロールは、2013年頃に韓国へ進出。それまでバタークリーム一辺倒だった韓国に初めて日本の生クリームのおいしさを伝え、成功した。

 韓国の経済状況は決して良くはないが、それでもこうした人出や行列を見ると、なんだかんだと人々の消費意欲は旺盛であることを感じさせられる。

 同時に、韓国生活が長くなった筆者にとって、韓国で「行列」を見かけることが増えたのは驚きを禁じ得ない。その理由は後ほど述べるとして、元来は「パリパリ」な性格ゆえに「待つこと」「並ぶこと」が苦手であった韓国人の人々に起こった変化について追求してみたい。