“たばこは体に悪くない論者”が根拠データを「完全に見誤っている」理由写真はイメージです Photo:PIXTA

「たばこは体に良くない説はねつ造」は本当か

 3月24日、ドラッグストア最大手のウエルシアホールディングスが、2026年2月までに全店舗でたばこ製品の販売を順次終了すると発表した。

「健康な暮らしを提供する」という企業理念に基づいた決断で世論は概ね好意的に受け取っているが、ネットやSNSでは一部、以下のようにかみ付いている人たちもいる。

「ここまでタバコ排斥が進んでしまうのはちょっと不寛容すぎないか」
「異なる価値観を徹底的に排除しようという社会だから今の日本は衰退しているのではないか」

 そういう人たちがよく唱えているのが、陰謀論だ。たばこ排斥の根拠となっている「タバコ=健康に悪い」という常識とは、実は医療をビジネスとして考えている人々が、もうけるためにねつ造した「うそ」だというのだ。

 最近もあるTwitterユーザーが、喫煙率と肺がんのグラフを並べて、「喫煙率は減少しているのに、なぜかがんの罹患率(10万人当たりの診断された数)は上昇している」「煙草が原因ではないとはっきり理解出来ますね ここにも嘘を見つけた」と投稿した。一部の人々から「その通り」と賛同されるだけではなく、「むしろ喫煙していた方が健康になることが証明された」と主張するようなTwitterユーザーまで登場している。

 ただ、この手の話は皆さんも一度や二度聞いたことがあるのではないか。筆者も取材で高名な大学教授や専門家や経営者などから話を伺う機会が多くあるのだが、その中にはこんなことを言っている人も少なくない。

「あれ?知らないんですか?たばこを吸うとがんになるというのは真っ赤なうそで、外資系の製薬会社やがん保険の会社がもうけるためにうそをついているんですよ。喫煙率が減っても肺がんで亡くなる人が増えているのがその証拠ですよ」

 テレビや新聞では決して報じられないが、情報リテラシーのある人間からすれば、「常識」とでもいわんばかりのもの言いなのだ。では、かねてからネットやSNSでも、まことしやかに語られているこの「陰謀論」は本当なのか。