入社日より前に、新入社員研修をすることはできるのか

「ところで、もう一つ聞いてもいいですか?」
「どうぞ」
「人手不足のせいで、社内の各部署から少しでも早く新入社員を迎えたいとの声が多くあがっています。そこで来年度から入社日前に前倒しで研修を始めようと思うのですが、それは可能ですか?」

<入社前研修について>
○ 入社前研修とは、入社日より前に内定者に対して行う研修のことである。
○ 研修内容は、会社のオリエンテーリング的な意味合いや、社会人としてのマナーのレクチャー、会社の業務内容に関することなど、企業独自のカリキュラムを組むことができる。
○ 内定者に入社前研修の参加を強制した場合、研修の時間は労働時間として扱われるため、給料の支払いが発生する。無給で入社前研修を強要した場合は、法律違反の可能性が高い(要するに「タダ働き扱い」になる)。
○ 建前上は任意参加でも、内定後入社する予定がある場合、会社から勧められた研修を拒否することは難しい。例えば内定者が全員参加している場合、強制参加扱いになる可能性が高い。

「入社前研修にも給料の支払いが必要だとは知りませんでした。給料額の基準はありますか?」
「時給ベースで、都道府県最低賃金額以上の支払いが必要です。ただし自宅から会社までの交通費を別途支給するか否かは、会社の判断で決めることができます」

宿泊研修に参加をするよう促すが、拒否されてもクビにはできない

 D社労士からアドバイスを受けたA部長は、C社長に内容を報告し、以下のようにすることを提案した。

○ Bの宿泊研修参加について
(1)宿泊研修の目的と重要性(商品の製造過程と流通について職場を実地見学、担当者のレクチャーを受けることで業務に対する理解を深めること、宿泊を通じて同期や先輩社員との連帯感を深めること)を十分に説明し、研修に参加するよう促す。
(2)部屋割りは先輩及び同僚社員と同部屋にならないことなど、Bのいびきがいじめの原因になることがないよう、会社が配慮する。
(3)万一、Bが宿泊研修に参加しない場合でも懲戒処分にはせず、可能な限り本社での座学研修で対処する。
○ 来年度から入社前研修を実施する。その期間はアルバイトとして雇用し、会社が定めた時給を支払う。

 C社長は不安そうに言った。

「入社前研修の件はこれでいいとして、B君の方は難しいな。だって彼は一人部屋も拒否しているんでしょ?どうやって説得するんだ」