お金の終活 シニアの資産運用&死に際のお金の管理#1Photo:Yuichiro Chino/gettyimages

60代からの資産運用、死ぬまでのお金の管理をどうするか?特集『お金の終活 シニアの資産運用&死に際のお金の管理』(全13回)の#1では、シニア富裕層の注目を集めるファイナンシャルプランナーが、老後資金の運用対象として、ドル建て社債の魅力とリスクを解説する。

「週刊ダイヤモンド」2023年3月25日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

老後資金の残高が
10年で2000万円の差!

 13年前、春の桜が美しい季節。2人の紳士が同じ会社を退職した。共に仕事熱心で人柄も良く、老後は家族との時間を大切にして、旅行や趣味を楽しみたいと願っていた。

 お金の面でも堅実で、退職金と持ち株会でコツコツ積み立てした分を合わせた老後資金が、それぞれ約5000万円あった。

 そんな2人が10年ぶりに会社のOB会で再会した。10年たっても2人には共通点が多く、共に幸せな生活を送り、3人の孫にも恵まれた。

 家族旅行や外食、趣味などを満喫し、その楽しみに毎年200万円使っていることも同じだった。年金額や普段の生活費も同じくらいだ。

孫と祖父母のイラストIllustration by Yumiko Hoshino

 ところが、一つだけ違うことがあった。それも大きな違いだ。

 1人は、老後資金の残高が2000万円減り、3000万円となっていた。もう1人は5000万円がそのまま残っていた。2000万円もの違いをもたらしたもの、それは持っているお金の生かし方だった。

 1人は、退職時の資産5000万円を大切に預金した。そして普段は年金で生活し、旅行などの楽しみのために、預金から毎年200万円を取り崩していた。預金は10年で2000万円も減った。

 では、5000万円がそのまま残っていたもう1人は、どんな運用を行っていたのか、次ページで詳しく解説する。