急激な金利引き上げは
韓国経済に大打撃となる

 韓銀は、「高い物価上昇率が相当期間継続した場合、経済主体のインフレ期待が高まり、さらなる物価上昇を誘発する可能性もある」として、2021年8月に0.5%だった政策金利を1年5カ月で計3%引き上げ、3.5%とした。

 昨年の消費者物価上昇率は5.1%で、1998年の通貨危機以降で最高値を記録し、今年も年間で3.5%を予想している。こうした中、韓銀は最近2回の政策決定会合で金利の引き上げを見送ってきたが、これは苦渋の決断である。

 今年1~3月期の名目国内総生産(GDP)に対する民間債務(家計負債+企業負債)規模は216.3%と過去最大水準であり、今後金利が上がれば滞納が0.3ポイント増えると推定している。株式市場にもマイナスの影響が予想される。

 急激な金利引き上げは経済に大打撃を与えかねない。上半期の景気低迷が、果たして高金利の余波に伴う一時的な状況なのか、長期低成長の始まりなのか、注視する必要がある。

韓国経済の再生に
動き出した尹錫悦政権

 韓国経済の再生のための動きは、既に始まっている。

 例えば以下の4つである。

(1)韓国の最大の輸出国が中国から米国に代わった。

(2)尹錫悦大統領の訪日に合わせ、4大財閥のトップが大統領に同行し日本の経団連をはじめ個別企業との話し合いを行った。

(3)尹錫悦大統領は、今月下旬に国賓として訪米し、26日首脳会談と夕食会、27日に米上下両院合同会議での演説と昼食会に臨むことになっている。訪米には与野党の国会議員や財界関係者も同行する。

(4)現代自動車が29年ぶりに韓国国内に新工場を設置することになった。それは尹錫悦政権が過激労組・民主労総の政治的な動きと経済を麻痺させるストを封じる行動に出ている点が大きい。

 尹錫悦政権は、今後こうした流れを本格化させていくだろう。