新入社員写真はイメージです Photo:PIXTA

2023年度が始まりました。新人が職場に配属される、部下や後輩として付き合う、育てる、という立場の読者の方も多いと思います。今年の新人は、学生時代のラスト3年間をコロナ禍で不自由な思いをしながら過ごし、就職活動をしてきた世代。そんな社会背景もあって、特徴的な3つの力を備えています。戦力として成長してもらい、活躍してもらうためにはどのように付き合っていけば良いか、社内講師・社外講師として30年以上新人を見てきた筆者が、そのヒントをお伝えします。(カスタマーズ・ファースト株式会社代表取締役・代表講師、産業カウンセラー 片桐あい)

2023年度新人社員の特徴

 今年入社の新人たちはこの3年間の新型コロナウイルス禍により、不自由な生活を強いられました。しかし、デジタルネイティブ世代の彼らはSNSやZoomのようなオンライン会議システムにもすぐに慣れ、リアルでのコミュニケーションが絶たれた環境の中でも、学び続け、職を得てきた人たちです。本来であればこの3年間は、リアルで様々な経験をするはずだった彼らは、コロナ禍で不自由な生活を強いられてきました。しかし、その環境下だからこそ、特筆すべきいくつかの能力が備わりました。

 彼らが持っている能力とは、大きく次の3つです。

(1)オンラインでのコミュニケーション力
(2)不自由なルールや条件の中でも、自分のやりたいことを形にする力
(3)仲間とのつながりをつくる力

【オンラインでのコミュニケーション力】

 コロナ禍で、授業や研究、そして就職活動や趣味の仲間との情報交換のために、最適なツールを使いこなしてきた彼ら。やりたいことがあれば、それを実現するために必要なデバイスを使い分け、必要なソフトウエアやアプリをリサーチして、サクサク進めることができます。また、オンラインでの表現力もあり、グループワークや発表などもうまくこなします。

 一方、リアルで人と接する機会が減ったことにより、対面でのコミュニケーション力が下がってしまった人もいる印象です。具体的には、自分からあいさつをする、世間話や雑談、そして、悩み事の相談などがしにくくなっているように感じます。オンラインツールを使いこなすことができたとしても、相手との距離感の縮め方や、ちょっとした声掛けへのリアクションなどに戸惑うことがあります。

 彼らのリアクションが薄かったとしても、それはどう対応して良いのか迷っているだけです。やる気がないわけでも、相手を避けているわけでもないという点は留意が必要だと思います。