60歳から投資を始める場合
退職金は分散させる

 では、今度は60歳から投資を始める場合を考えてみよう。この場合は、60歳で定年退職して退職金をもらったという前提で考えてみる。

 この場合、退職金を一度に投資するのではなく、NISAの「つみたて投資枠」を使って少しずつ投資をしていくのがポイントになる。60歳時点での金融資産や退職金は急いで投資するのではなく、預貯金に入れておき、そこから毎月少しずつ取り崩しながら投資を続けていくのだ。

 ここでは毎月30万円を退職金やその他から取り崩しながら投資をしていく。月額30万円というのは年に直すと360万円となり、新しいNISAで投資できる年間の上限額いっぱいだ。

 生涯に利用できる非課税限度額は1800万円なので、このペースでは5年で上限に達してしまう。65歳以降は新たな投資はせずにそれまで積み立てたものを保有し続けるという前提で考えた場合、4%の利回りで計算すると投資累計額1800万円が約2424万円となる。

 50歳から始める場合に比べると2割程度少なくなるが、投資期間は半分であるからこれはやむを得ない。50歳から始めるにしても60歳からにしても一気に何倍にも増えるわけではないが、投資というものはそもそも長期でじっくり考えるべきものであり、いずれの場合もそれほど無理のない数字といえるだろう。