国内発コンサル「ベイカレント」爆速成長中Photo:Berkah/gettyimages

国内発のコンサルティングファーム、ベイカレント・コンサルティングが爆速で成長している。長期連載『コンサル大解剖』の本稿では、有数の高年収企業としても知られる同社の「高成長の仕組み」を分析。すると、競合の外資系ファームが持たざる3つの強みが浮かび上がってきた。アクセンチュアに対するベイカレントの絶大的なアドバンテージとは。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

外資系ファームが
持たざる強みとは?

 2016年秋の上場から株価は27倍に――。爆速成長を遂げ、今や国内株式市場を代表するテンバガー(10倍株)にのし上がったコンサル業界の“風雲児”が、国内発のコンサルティングファームであるベイカレント・コンサルティングだ。直近の時価総額は8000億円を超える。

 母体はIT人材派遣などを手掛ける1998年設立のピーシーワークスで、コンサルティング領域をじわじわと拡大。MBO(経営陣による企業買収)などを経て、16年9月に上場した。かねてデジタル関連案件に注力してきたベイカレントは、コロナ禍を契機とした産業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)の潮流が追い風となり、10年代半ばごろから成長が加速した。

 その“爆速”ぶりは目を見張るものがある。直近の23年2月期の売上高は、前期比32%増の761億円と、5期前(18年2月期)の3.7倍に拡大。21年春に公表した21年度(22年2月期)~25年度(26年2月期)までの中期経営計画では、最終年度の売上高目標として1000億円を掲げるが、23年度の売上高は前期比24%増の946億円を計画。勢いが続けば、確実に前倒し達成しそうな軌道にある。

 ベイカレントは国内有数の高年収企業としても知られ、直近(22年2月期)の平均年収は実に1107万円。業績拡大とともに年収の爆増ぶりもすさまじく、ダイヤモンド編集部が集計した『平均年収が「5年で100万円超増えた」高給大企業ランキング【全36社最新版】4位キーエンス321万円増、1位は?』でも、上場企業約1%という狭き門の中で、上位10傑に名を連ねる存在なのだ。

 原動力は、コンサルタントを中心とした人員体制の急速な拡大にある。15年2月期末に919人だった従業員数は、翌年に1000人を突破。そのわずか3年後の19年2月期には1531人、22年2月期末には2638人となった。年々採用ペースを加速しており、23年2月末にはコンサルタント数が2961人まで急膨張している。

 コンサル需要の拡大などを見込み、JPモルガン証券は22年6月からベイカレントのカバレッジを開始。担当アナリストのヘンダーソン真秀氏は、ベイカレントの強みについて「企業戦略の策定から実行までを行うケイパビリティー(遂行能力)」にあると分析する。

 今後、DX案件のさらなる拡大が予想される中、同氏は「上流案件の獲得を徐々に増やしつつあり、ITベンダーへの発注の透明性が高いことも競合との差別化要因となっている」と指摘する。

 ベイカレントが短期間で急成長を果たした理由とは何か。同社のビジネスモデルをさらに深掘りすると、マッキンゼー・アンド・カンパニーやビッグ4(デロイト、PwC、EY、KPMG)、アクセンチュアといった超有力外資系ファームすら持たざる、日系企業ならではの3つの強みが浮かび上がる。次ページでは、同社の「爆速成長の仕組み」をひもといていく。