激安株を狙え#4Photo:JIJI

PBR1倍割れ企業に改善を求める東京証券取引所の動きにアクティビスト(物言う株主)も便乗し、上場企業への攻勢を強めている。特集『激安株を狙え』(全13回)の#4は、激安株を「金の卵」に変える彼らの錬金術を明らかにする。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

6月総会でも多数の株主提案
アクティビストの戦術に異変

 日本でアクティビスト(物言う株主)の存在が最初に知れ渡った戦いが、2000年に不動産会社の昭栄(現ヒューリック)に行われた敵対的TOB(株式公開買い付け)とされる。

 仕掛けたのは当時、通商産業省(現経済産業省)を辞めたばかりの村上世彰氏。M&Aコンサルティング、通称「村上ファンド」を率い、安田財閥系の名門企業である昭栄を狙った。昭栄は駅前の優良不動産や政策保有株を多数持ちながら、当時の時価総額は100億円規模でしかなく、PBR(株価純資産倍率)は0.5倍を下回っていた。

 結果的にTOBは大株主の富士銀行(現みずほ銀行)やキヤノンらの賛同を得られずに失敗に終わり、ニッポン放送株を巡るインサイダー取引事件で06年に村上氏が逮捕されたことで村上ファンドは瓦解する。

 だが、昭栄のTOBから23年を経た今も村上氏の系譜を受け継ぐファンドが、昭栄と同じような課題を抱える上場企業に狙いを定め、アクティビズム活動を続けている。

 23年前と違うのは、東京証券取引所や金融庁が「資本コストや株価を意識した経営」を声高に企業に求めるようになった点だ。いわば国の“錦の御旗”を手にしたアクティビストとすれば、かつてより株主提案の賛同を得られやすい環境となり、激安に放置されたままの株は「金の卵」にすら見えるかもしれない。

 実際、6月の株主総会に向け、アクティビストたちは多くの株主提案を企業に突き付けている。旧村上ファンドの関係者らの証言を基に、彼らの最新戦略を解き明かす。