財務諸表の読解力を試す
「ビジネス会計検定」を受けよう!

 簿記検定が「帳簿を作る人」を想定しているのに対し、ビジネス会計検定試験は、作成された財務諸表を読み解くスキルを問う試験だといえます。なので、財務諸表を実際に読み解いたり、分析したりという観点から企業会計の全体像を具体的・実践的に理解するのに適しています。
 
 試験は簿記検定とは異なりマークシート方式なので(1級のみ一部論述式)、数字を厳密・正確に計算するのが苦手な人にも取り組みやすく、実際のビジネスでも十分生かせる会計の知識が身に付きます。こちらを勉強してから簿記検定の勉強に戻ることで、つまずいていた箇所がクリアになることも多いはずです。
 
 また、金融機関への就職を目指すのであれば、簿記検定、ビジネス会計検定試験に加えて「銀行業務検定試験」の受験をおすすめします。金融機関では入社後に取得が奨励される資格であり、簿記検定などとはまた違った側面から財務会計の知識が身に付く内容でもあります。

 この検定の概要は、前回記事を参照してください。「財務」「法務」をはじめとしてさまざまな科目があり、簿記検定ではそこまで深くは扱わない税務やデリバティブ、資産運用、リスク対策などの領域の専門知識を学べる科目もあります。また、金融業界志望でなくても、例えば「事業性評価」科目で企業の成長力を分析・評価するスキルを高めたり、「外国為替」科目で海外取引に関する知識を身に付けたりといった生かし方もあります。

 その他、財務会計分野を含めて企業経営に関する知識全般を証明する資格といえば、国家資格である「中小企業診断士」です。1次試験は科目合格制で、全7科目のうち合格した科目は翌年と翌々年の試験まで、申請によって受験免除を受けることができます。
 
 1次試験すらなかなか1回での合格は難しい難関資格の一つですが、業界を問わず評価の高い資格なので、長期計画になったとしても狙う価値はあるでしょう。学生のうちに「財務・会計」ほか複数の科目に合格しているというだけでも、ある程度のアピール材料にはなるはずです。
 
 また、流通業界を目指す人であれば、「リテールマーケティング(販売士)検定」の「マーチャンダイジング」「販売・経営管理」の科目で財務会計関連の出題がありますので、この検定を手始めに会計を学ぶのも良いと思います。