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岸博幸のクリエイティブ国富論

アベノミクスの評価を一気に下げかねない
産業競争力会議の事務局官僚の暴走

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第217回】 2013年2月22日
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 アベノミクスの3本目の矢である成長戦略を検討する産業競争力会議の第2回会合が2月18日(月)に開催されました。そこで明らかになったのは、会議の事務局の官僚の暴走がひどいということです。

成長戦略の2つの路線

 政府が産業の競争力を強化するためには、どのような政策を講じるべきでしょうか。この点について、例えば産業競争力会議の民間議員の1人である竹中平蔵先生は第1回会合に提出した資料で、①政府が民間に自由を与える、②政府が民間にカネを与える、という2つのアプローチがあると述べています。

 単純化して言えば、①は構造改革路線、②は国家資本主義路線とも言えます。もちろん、現実的には政策がそのどちらかのみになるということはあり得ず、①と②のどちらが政策のメインとなるかが重要なのですが、だからこそ、産業競争力会議では両方の路線についてしっかりと議論して、正しい成長戦略を導きだす必要があります。

 ところが、第2回会合ではそうした当たり前のことが行われず、むしろ事務局の官僚が②の路線だけを成長戦略に盛り込みたいのであろうことが明らかになりました。この原稿を書いている2月21日(木)の段階ではまだ会議の議事録が公開されていないのですが、公開されている情報からそれを検証してみましょう。

「研究開発予算を増やしたい」だけ?
偏った安倍総理の取りまとめ

 まず、第2回会合の議題の1つであったイノベーションです。このテーマについて、民間議員の側からは2種類のペーパーが提出されました。1つは主に政府の研究開発予算を増やすことを求めていますが、これに対してもう1つは政府の予算増額よりも民間の研究開発を促進し、またビジネスモデルなど技術以外のイノベーションを重視すべきと提言しています。

資料:「科学技術イノベーション推進体制強化に向けて」
資料:
「イノベーションについて」

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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