5月19日、内外情勢調査会で講演する日銀の植田和男総裁5月19日、内外情勢調査会で講演する日銀の植田和男総裁 Photo:JIJI

19日の植田総裁講演録は必読
2%物価目標“実現”の条件を読み解く

 植田和男新総裁の下での最初の金融政策決定会合で、日本銀行は「緩和維持」と、過去25年間の緩和策の「多角的レビュー」を決めた。

 一方で同時に公表された展望レポートでは、2023年、24年の消費者物価(除く生鮮食品、コアCPI)見通しが上方修正され、24年は2.0%と、数字の上では2%インフレ到達が視野に入っている。これを踏まえて、市場の一部では、金融政策の正常化が早まるのではとの見方もある。

 植田総裁は緩和継続の必要性を訴えており、植田日銀が考える安定的かつ持続的な2%インフレ実現の条件とは何なのかが、注目されるところだ。

 これを知るには、5月19日行われた植田総裁の初めての講演で示された図表がヒントになる。

 講演は、前半では「金融政策の基本的な考え方」、後半では「経済・物価情勢の展望と金融政策運営」が主たるテーマだった。

 総裁就任後初の講演であるということ以上に、植田総裁の金融政策運営に対する考え方が分かりやすく示されており、講演録は必読と言って良いだろう。しかもそこには、物価の安定が具体的にどのような状態を指すのかを示唆する重要なメッセージが隠されている。