東大研究者が手掛ける
4つの研究テーマの中身とは

「脳チップ移植」がテーマの研究では、脳にコンピューターチップを移植することで、地磁気や血圧の変化といった本来人間が感知できない環境や身体の情報を脳にインプットし、それによって脳の機能がいかなる変化を起こすかを調べているそうだ。

「脳AI融合」は、脳内に存在する情報をAIで分析し脳にフィードバックすることで、脳の機能を拡張するというアプローチ。このテーマでは、「ネズミは英語とスペイン語を聞き分けることができるのか?」という、何とも興味深い研究が行われている。

 これは、英語とスペイン語それぞれの音声を聞いたときの、ネズミの脳波の変化をAIで分析。ネズミの脳に、英語を聞いたときの脳活動パターンが表れたときには右脳を、スペイン語のときのパターンが出た場合は左脳をそれぞれ電気で刺激すれば、ネズミ自身がどちらの言語を聞いたのか判別できるようになる、というものだ。

 私たちは、まあ英語とスペイン語ならば、どこかで聞いたことがあるだろうから、聞き分けることは難しくない。だが、これが例えばロシア語とモンゴル語ならどうだろうか? 

 つまり、この研究が人間に応用できるようになれば、確実に新たな能力を拡張できるかもしれない。

 前述した倫理面の問題は付きまとうものの、通常では気づかない相手の言葉の抑揚を読み取って、「話し相手がどの国の言葉を話しているのか」を瞬時に判別することも可能なのではないだろうか。

「インターネット脳」は、脳をインターネットや電子機器と連携させることで、脳活動をもとにウェブ検索や家電操作を行うというアプローチだ。現在進められているのは、ネズミが脳波だけで部屋の明るさをコントロールできるようにする、という研究。人間に応用できれば、頭の中で言葉を念じるだけで、インターネット検索ができるかもしれないとのことだ。

 最後の「脳脳融合」は、複数の脳をAI技術で連結し、個体間で情報を共有することを可能にするもの。言葉やしぐさを超えた、未来のコミュニケーションのかたちを模索する。ここまで来ると、まさしくSFに登場する「テレパシー」が実現する、ということではないだろうか。