いまどきの新卒社員がオンラインでの“新入社員研修”で学んだこと

ウィズコロナの時代が新たなステージを迎えるなか、4月からスタートした2023年度も第1Qの終盤を迎えている。4月入社の新卒社員はそれぞれの職場に配属されて、仕事を覚えている毎日だろう。今年4月、「HRオンライン」は、オンラインで行われた、2日間にわたる新入社員研修(『フレッシャーズ・コース2023』を活用した自律型新入社員研修)を取材した。Z世代の新入社員たちは、オンラインで、何をどう学び、それぞれの仕事に就いたのか? その研修内容を詳細にレポートする。(フリーライター 狩野 南、ダイヤモンド社 人材開発編集部)

あらゆる業種の新入社員が集ったオンライン研修

 今年2023年4月の第一週、企業・団体の新卒入社者を対象にした「『フレッシャーズ・コース2023 *1 』を活用した自律型新入社員研修」が、2日間にわたって、オンラインで行われた*2 。「フレッシャーズ・コース2023」(以下、FC)は、企業・団体の新卒内定者向け教材*3 だ。今回の研修受講者である新卒入社者は、内定期間中にFCを手にして、オンライン研修に臨むかたちになっていた。

*1 「フレッシャーズ・コース」(ダイヤモンド社)は、全7巻ワンセットの新卒内定者フォロー教材。毎月1巻ずつ6カ月間、継続した内定者フォローが可能になっている。
*2 2023年度も、対面での公開研修の他、企業内で実施するインハウス型の研修も行われた。
*3 「フレッシャーズ・コース2023」の内容は、第1巻「働くことの意味」、第2巻「社会人としての常識力」、第3巻「コミュニケーション」、第4巻「社会人としての自己管理」、第5巻「自分の頭で考える力」、第6巻「会社の仕組み・仕事の仕組み」、第7巻「ビジネスマナーハンドブック」、付録「コミュニケーションペーパー」。

 昨年2022年4月、私は、同じ「『フレッシャーズ・コース2022』を活用した自律型新入社員研修」の“対面研修”を取材した*4 。新卒入社者がひとつの会場に集まり、グループごとに分かれ、輪になって話し合ったり、模造紙を使ってワークを行ったりした様子が思い出されるが、オンラインの場合はどのように進行するのだろうか。2日間の研修プログラムに期待しながら、私もオンラインで研修ルームに入った。見学取材した研修には、11社31名が参加。「公開型」研修なので、ひとつの企業ではなく、さまざまな企業の新入社員が集うかたちで、複数名が受講する企業もあれば、1名のみ受講という企業もある。

*4 HRオンライン「別企業の新入社員たちが、ひとつの研修で一緒に学ぶことの価値」参照

 定刻の午前10時、研修の講師を務める垂水菊美さん*5 が画面に登場。31名の受講者たちも画面をオンにして顔を表した。中にはミュートをはずすのを忘れてしまった人や、ネット環境の不具合でうまくつながらない人もいたが、同じ会社の受講者(=同期入社の新入社員)が垂水講師に状況を伝えてフォローする場面も見られた。対面での研修とは違い、オンラインでは、マスクをはずして受講している人が多く、表情が分かりやすいと感じた。

*5 株式会社キャリアンサンブル 代表取締役 一般社団法人あしたの働き方研究所 理事

 冒頭、垂水講師から、「この研修では、一方的に講義を聞くのではなく、グループワークをたくさん行っていきます」という宣言があった。これは、“自律型”新入社員研修という名の当研修の大きな特徴だ。講師と受講者だけではなく、受講者同士もオンラインでコミュニケーションをとりながら、能動的に参加するプログラムになっている。音声コミュニケーションの他、Zoomのチャット機能を使い、ワークの回答や自分の意見をパソコンのキーボードで打ち、文字を記していくスタイルだ。

 早速、最初のオリエンテーションでチャットを使い、研修受講者である、各企業の新入社員がどこから参加しているかを自分で投稿。大阪・愛知・北海道……など、全国のさまざまな地名があがっていく。首都圏に限らず、あらゆる地域から参加できるのは、オンライン研修ならではのメリットだ。続いて、「研修を受講するにあたって感じていること」についても投稿。「他の人のチャットを見て、自分と同じことを考えている人が多く、緊張が少しほぐれた」といった感想があった。受講者の考えをすぐに閲覧できるチャットの便利さがコメントに反映されている。

 当研修の目的は、内定期間中に学習したテキスト(FC)」の内容を復習しながら、「社会人として必要なマインドとマナーを身につけること」となっている。1日目の学習テーマは「マインド」。最初の学習目標である「学生と社会人の違い」について個人で考え、その後、グループワークに移った。垂水講師から「この研修も実際の仕事と同じように、グループのリーダーが『報連相』(報告・連絡・相談)をしっかり行うこと。方法は各グループで工夫してください」との指示が出る。その後も垂水講師からは「方法はお任せします」という発言が何度か聞かれた。マニュアルどおりにこなしていくのではなく、自分で考え、自分で工夫する――これも“自律型”研修の特徴であり、私は、 “自律”こそが、社会人として必要なマインドであることに気づいた。