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トップ営業マンの説得術

相手が「説得されにくいタイプ」かどうかを見極める

プロセス3:相手を知る【前編】

榊 博文 [慶応義塾大学文学部教授/社会学博士]
【第5回】 2008年6月3日
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営業において、説得力・交渉力は不可欠なもの。これまでは自己流で身体で学ぶというのが主な方法でしたが、説得のメカニズムを「科学」しておけば、誰でも効果的に説得力を身につけられるのです。

 今回は「説得力を向上させるための6つのプロセス」の3つ目、「相手を知る」についてです。具体的なケースとともにご紹介しましょう。

「当然のことを言って何が悪い」
相手の立場を考えないF君のケース

 中途入社してきたF君は、アメリカでMBAを取得したせいか、日本企業の文化が肌に合わず、これまでいろいろな会社を転々としてきました。そのために知識は豊富で、何事にも一家言をもっています。しかし、どれもこれも中途半端な知識のため、本人が思うような仕事の成果にはなかなか結びつきませんでした。

 あるとき、取引先とのミーティングで「私の前にいた会社では、そのようなやり方はしていませんでした」と一席ぶってしまったのです。

 確かに、取引先のやり方は効率や成果という面ではいささか疑問符がつくところがありましたが、これまでの商慣習を改めろと言っても、一朝一夕にどうにかなるという代物でもありません。

 彼の上司が即座にその場を取り繕ったこともあり、先方も「おっしゃることは、われわれも重々承知しているのですが、弊社だけでどうにかなるというわけではありませんから」と大人の対応でそのときは収めてくれました。

 F君を担当者にして実績を上げさせようと考えていただけに、上司はこの一件にかなりショックを受けました。ところが、当の本人は「当然のことを言って何が悪い」とどこ吹く風で、「そもそも日本的経営の悪いところは……」「この前も、あそこの会社に行ったら……」などと、同世代の社員に吹聴するありさまでした。

 F君は優秀で、その言動も理にかなっていました。上司も議論になれば言い負かされてしまうかもしれません。しかし、他の社員の間では「一緒に働きたくない」「口でなら何でも言える」と評判も悪く、もう少し態度を軟化させないと、当初の目標を達成できないどころか、また転職しなければならなくなるような状況でした。

 F君は、自分をどう変えていけばいいのでしょうか? その答えを会社の人事制度の見直しを引き受けているコンサルタントが教えてくれました。以下はコンサルタントのアドバイスです。

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榊 博文 [慶応義塾大学文学部教授/社会学博士]

慶応高校から慶応義塾大学経済学部を経て、慶応義塾大学院社会学研究科博士課程修了。米国スタンフォード大学留学。専門は社会心理学。主として効果的な説得戦略、およびイノベーションの効果的な普及戦略に関する研究に従事。主な著書に『説得と影響―交渉のための社会心理学』『日本列島カルト汚染―説得と勧誘の社会心理学』(いずれもブレーン出版)などがある。


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