
丁寧に説明しているのに、なぜか話が「分かりにくい」と言われてしまった経験はないだろうか。そんな時は、相手が「情報処理」しやすいように話し手が工夫することが必要だ。“プレゼンの神様”が「分かりやすい説明」の極意を解説する。※本稿は、藤沢晃治『「分かりやすい説明」の技術 新装版 最強のプレゼンテーション15のルール』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです。
初めて説明を聞く人は
「映画館に入ったばかりの人」
上映中の映画館に入ると、最初のうちは暗闇に目が慣れていないため、上映中のスクリーン以外は真っ暗で何も見えません。通路を歩くこともできないほどです。
しかし、しばらく経つと目が暗闇に慣れ、通路も歩くことができるようになります。
映画館に先に入っていたあなたが、遅れて来た友人を席まで案内すると考えてください。
すでに暗闇に慣れているあなたは、通路もよく見えます。そこで、映画館に入ったばかりの友人を足早に誘導しようとします。ところが暗闇に目が慣れていない友人は、歩くのもおぼつかなく、つまずいて転ばないかと恐怖さえ感じているのです。
このような光景は、プレゼンや販売員の商品説明など、さまざまな説明シーンでよく見られます。話し手のあなたは、説明したいテーマを熟知しています。つまり映画館に入って十分に時間が経ち、目が暗闇に慣れている人に似ています。一方、今日初めて説明を聞く人は、あなたが伝えたいテーマに関しては「たった今、映画館に入ったばかりの人」なのです。