頭脳写真はイメージです Photo:PIXTA

プレゼンが上手な人の言葉はなぜ相手に伝わるのか、そもそも人は何をもって「分かりやすい」と感じるのか。“プレゼンの神様”と呼ばれた作家が脳の情報処理の仕組みから「分かりやすい説明」の本質を解説する。※本稿は、藤沢晃治『「分かりやすい説明」の技術 新装版 最強のプレゼンテーション15のルール』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです。

「分かりやすい説明」は
「脳内関所」を通過しやすい

 そもそも「分かりやすい説明」とは何でしょうか。それをはっきりさせたいと思います。

 私たちの生活には「説明」があふれています。2人以上で構成される社会では、必ず「説明」がつきまといます。

 電子レンジの取扱説明書は文字通り「説明」ですが、テレビでアナウンサーが事件を伝えるのも「説明」です。新しい事業内容を書いた企画書も「説明」です。新製品の優秀性をフェアで発表するプレゼンも「説明」です。離婚裁判で、妻がどれだけ夫にひどく扱われたかを主張するのも「説明」です。テレビCMで自社の電話料金が安いことを主張するのも「説明」です。

 その一方で「明日、3時から部門会議があります」ということを「知らせる」とは言いますが、「説明する」とは言いません。なぜでしょうか。

 国語辞典によると、「知らせる」は「知るようにする」ことで、「説明」は「相手に分かるように説き明かすこと」だそうです。

 つまり「知らせる」と「説明する」の違いは、「知る」と「分かる」の違いにあります。相手を「知っている状態」にすることが「知らせる」ことで、相手を「分かっている状態」にすることが「説明する」ことと言えます。