写真:コーラ写真はイメージです Photo:PIXTA

世界中で愛されているコーラの中で、にわかに人気となっているのが「クラフトコーラ」だ。ブレンドされたスパイスが、なじみのあるコーラ飲料とは一線を画す味わいを提供してくれる。ご当地クラフトコーラが次々と誕生するなど、地域活性化にも一役買っているクラフトコーラについて、家庭でのおいしい飲み方や人気が広がった背景などを専門家に聞いた。(清談社 小森重秀)

一日一商品のペースで
登場するクラフトコーラ

 近年、市民権を獲得しつつあるクラフト系飲料の一つとして、クラフトコーラが人気だ。一般に、クラフトコーラと聞くと「職人がこだわって作った高級なコーラ」を思い浮かべるかもしれないが、コーラ専門情報メディア「Cola-Fan」編集長の空水りょーすけ氏は「今のところ、具体的な定義はありません」と語る。

「たしかに着色料や甘味料などの添加物を極力使用せず、かんきつ類やスパイス類、砂糖などを鍋で煮込む、いわゆる“生のコーラ”をイメージして作られる場合が多いです。ただ、最近登場した『三ツ矢クラフトコーラ』のように、大量生産を可能とするメーカーが販売している“クラフトコーラ”も、私はクラフトコーラと捉えていいはずだと考えています」

「クラフトコーラとは何か?」とラベリングする動きも出ているようだが、小規模な造り手が生産するクラフトコーラには個性的な味わいのものも多く、定義の曖昧さゆえに愉快で創造的なコーラが生まれるといった側面もあるようだ。

 そもそも、クラフトコーラが日本で知られるようになったのは、2018年の夏頃に発売された「伊良(いよし)コーラ」と「ともコーラ」の影響が大きいといわれている。

「フルーティーで飲みやすい『伊良コーラ』と、ハーブやスパイスを使った『ともコーラ』の登場で、コーラとは“買うもの”という既成概念が崩されました。以降、両メーカーはクラフトコーラのベンチマーク的存在となり、各地で独自のクラフトコーラが生産されるようになっていきました」

 空水氏は、クラフトコーラが広がった要因として「小規模な生産者でも作りやすく、帰属する地域を振興する手段として最適だった」と、指摘する。

「実は、コーラ自体は、市販されているスパイス類やかんきつ類、砂糖を鍋で煮込めば完成する非常に作りやすい飲料です。クラフトコーラの登場以後、コーラの作り方が広まり、地域の生産者たちがローカルな柑橘類やハーブを置き換えるなどアレンジを加えて、独特なご当地クラフトコーラが増えていったのです」

 大学生と行政が共同開発したクラフトコーラという例もある。埼玉県の「ふるさと支援隊」事業に、十文字学園女子大学人間生活学部食品開発学科の大学生たちが参加して製作した「HAPPY CITRUS CRAFT COLA」だ。