京王電鉄が営業利益29倍!近鉄も17倍、私鉄5社の決算格差を生んだ「鉄道以外の事業」とはPhoto:PIXTA

新型コロナウイルス禍が落ち着き始め、企業業績への影響も緩和されてきた。だが、円安、資源・原材料の高騰、半導体不足といった難題がいまだに日本企業を苦しめている。その状況下でも、企業によって業績の明暗が分かれているが、格差の要因は何なのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は小田急電鉄、京王電鉄、阪急阪神ホールディングスなどの私鉄5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)

私鉄5社増収
近鉄は2.4倍超の大増収

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の鉄道(私鉄)業界5社。対象期間は2022年11月~23年3月期の四半期(5社の対象期間はいずれも23年1~3月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・小田急電鉄
 増収率:9.3%(四半期の営業収益995億円)
・京王電鉄
 増収率:16.9%(四半期の営業収益952億円)
・東急
 増収率:16.1%(四半期の営業収益2608億円)
・阪急阪神ホールディングス
 増収率:10.0%(四半期の営業収益2519億円)
・近鉄グループホールディングス
 増収率:142.6%(四半期の営業収益4433億円)

 行動制限がなくなり、鉄道需要も増えたことから、私鉄5社全てが増収となった。近鉄グループホールディングスは、子会社の新規連結効果で営業収益が2.4倍となる大増収を果たした。

 なお、同じ鉄道業界では、JR東海、JR東日本、JR西日本のJR3社も増収している(詳細は本連載『JR東海・東日本・西日本が3年ぶりの最終黒字化でも「完全復活までの距離感」は?』参照)。

 私鉄各社が増収を達成できた要因は鉄道需要だけではなく、別の事業も大きく寄与していることが分かった。

 次ページ以降では各社の増収率の推移を紹介するとともに、コロナ前と通期決算を比較して詳しく解説する。