ダイヤモンド決算報#JRPhoto:PIXTA

新型コロナウイルス禍が落ち着き始め、企業業績への影響も緩和されてきた。だが、円安、資源・原材料の高騰、半導体不足といった難題がいまだに日本企業を苦しめている。その状況下でも、企業によって業績の明暗が分かれているが、格差の要因は何なのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はJR東海、JR東日本、JR西日本の「鉄道(JR)」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)

JR3社は前年同期比で増収
コロナ禍からの回復はいかに

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の鉄道(JR)業界3社。対象期間は2022年11月~23年3月期の四半期(3社の対象期間はいずれも23年1~3月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・JR東海
 増収率:53.2%(四半期の売上高3811億円)
・JR東日本
 増収率:36.7%(四半期の売上高6785億円)
・JR西日本
 増収率:39.7%(四半期の売上高4207億円)

 鉄道業界はコロナ禍で大きな打撃を受けてきたが、行動制限の緩和によって鉄道需要も戻ってきた。その影響が大きく、JR3社はいずれも2桁増収となっていて、中でもJR東海が5割を超える大増収となった。ただ、コロナショックからの反動増の影響が大きいので、前年同期比の増収率だけでなく、コロナ前の業績と比べた「真の回復度」を見極めることも重要だ。

 また、利益面を見ると、やはりコロナで各社苦しい状況が続いていたが、3期ぶりの黒字に転じた企業が続出した。

 次ページでは各社の増収率の推移を紹介するとともに、通期の利益面について解説する。