写真:マンション写真はイメージです Photo:PIXTA

日経平均株価が33年ぶりの
高値更新となった理由

 日経平均株価が3万3000円を超え、33年ぶりの高値更新。2021年に書いた拙著『バブル再び 日経平均株価が4万円を超える日』が、現実になろうとしている。

 ここまで日本の株価が上昇している大きな要因は「主役」の交代にある。日本は元来、バブル崩壊後、米欧が株価を伸ばす中、長らくデフレだった。“出遅れ”を取り戻し始めたのは、自民党政権に交代後の2013年のことである。今日までの10年間でやっと周回遅れが解消されるかと思った矢先の、米欧の金利上昇。インフレ率が高くない日本は、依然として異次元緩和を継続している。

 全世界にあふれたマネーの矛先がどこに向かうかというと、それはやはり先進国だ。これまでの主役は、言うまでもなく米欧だった。しかし、米欧が失速した今、代わって主役に躍り出つつあるのが、つい最近まで周回遅れにあった日本なのである。これまで米欧に流れていたマネーの5%、10%が日本に流れ込むとすれば、その影響は計り知れない。

 昨今「株価が33年ぶりの高値更新」「首都圏のマンション価格がバブル期超え」といった話題がメディアをにぎわせているが、私は90年のバブルと今を比較することに意味がないと考えている。

 当時は、世界の投資マネーが向かう矛先に、REITやファンドといった投資商品はほとんどなかった。世界で金融ビッグバンの成果が上がり始めたのは90年を過ぎてからで、日本に至っては90年代後半のことだ。なにより今のマネーの総量は、当時と桁違いである。

 住宅ローンを組む人の70%以上の人が選択する変動金利は、現在0.3~0.4%ほど。固定金利であっても1%台後半だ。一方、バブル当時の住宅ローン金利は7~8%。変動金利で借り入れれば、1億円のマンションも今は月々25万円ほどの返済額となるが、バブル当時は70万円を超える計算だ。

 不動産価格は、金利とセットにしなければ高いか安いかは判断できない。米国の住宅ローン金利は現在6~7%ほどだが、この金利で月々の返済額を25万円に抑えるとすれば、せいぜい4000万円ほどの物件しか購入できない。