地方で新築マンション続々建設も「安易な購入・投資」は厳禁な理由Photo:PIXTA

首都圏・近畿圏など除いた地方で、新築分譲マンションが相次いで販売されている。昨今はテレワークが普及し、移住やUターンが盛んになりつつあるが、自宅あるいは投資物件として、安易に地方の物件に手を出すのはおすすめできない。その理由と、地方の物件を選ぶ上で知っておくべき基礎知識をお伝えする。(スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント 沖 有人)

価格高騰を背景に
郊外でのマンション需要が拡大

 2022年における全国の新築分譲マンションの発売戸数は、前年比5.9%減の7万2967戸だった(不動産経済研究所調べ、以下同)。

 前年からの増減率を地域別に見ると、首都圏は12.1%減、近畿圏は5.8%減、東海・中京圏は15.1%減という結果だった。

 一方、北海道は31.1%増、東北地区は83.7%増、首都圏以外の関東地区は10.6%増、四国地区は14.6%増といった具合に、3大都市圏以外では発売戸数が増加するエリアが見られた。

 このようにマンションが売れる地域の「郊外化」が進んでいる背景には、昨今の価格高騰がある。

 こうした現象は過去に何度かあったが、全国的にマンション価格が下がり始めると、地方や郊外の物件はニーズが激減するので注意が必要だ。

 自宅あるいは投資物件として地方のマンションを購入し、数年後に売却しようとしても、買い手が付かないリスクや含み損を抱えるリスクは否定できない。

 そもそもマンションという建物は、都会でのニーズが高いのが特徴だ。地方の持ち家は戸建てが中心である。いくら足元で発売戸数が増えているとはいえ、地方でマンションを買っても大丈夫なのだろうか。今回は、この点について説明していきたい。

 全国的にマンション価格が高騰すると、地方や郊外の物件も値上がりする。値上がりしているさなかは、その物件を購入すると入居後も値上がりし、含み益が生まれやすい。

 しかし、値上がりが期待できるから購入するというのは、自宅選びの動機としては“不純”だ。将来的に売ってもうけることではなく、たとえ相場が変わらなくても、ローンを安定して返済することを第一に考えて家を選ぶべきだろう。