2026年に出産費用が「保険適用」に!負担金額はいくらに軽減される?長らく「病気ではない」を理由に保険適用とならなかった出産費用。それが政府の少子化対策の一環で保険適用とされる動きが始まった。そもそも、出産に保険が適用されなかった理由とは?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

これまで長年「病気ではない」とされ保険診療の対象外だった出産。それがいよいよ26年に変わることになりそうだ。そもそも出産に保険診療が適用されなかったのには長年の硬直化した制度の弊害があった。連載『医療費の裏ワザと落とし穴』の第262回では、あまり知られてこなかった「そもそもなぜ出産に保険が適用されなかったのか」の根深い経緯を探るとともに、保険適用後の変更点について見ていこう。(フリーライター 早川幸子)

「難しい」と言われていた出産の保険適用
本当に困難なのか?

 出産費用の保険適用に向けた議論が、急速に動き出している。

 現在、「妊娠・出産は病気やケガではない」という理由で、正常分娩には健康保険が適用されていない。その代わりに、現金給付の出産育児一時金によって、出産費用の負担軽減が図られている。

 これまで、国は出産費用の保険適用には、かたくなに慎重な姿勢を取っていた。

 だが、6月13日に発表された「こども未来戦略方針」で、「2026年度を目途(めど)に、出産費用(正常分娩)の保険適用の導入」を含めて、出産に関する支援を強化していくことが示された。6月16日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2023」でも、政府を挙げて出産費用の支援策に取り組むことを約束している。

 岸田文雄首相が掲げる「異次元の少子化対策」の一環として、出産費用の保険適用に向けた議論が行われることになり、大きな方針転換がなされたのだ。

 ただし、地域差の大きい出産費用を保険適用とすることに対して、懐疑的な意見も多い。保険適用にして全国一律の公定価格にすることで、産科の経営が立ち行かなくなるというのだ。

 だが、本当に出産費用の保険適用は技術的に難しいのだろうか。今回は、その可能性を探ってみたい

●出産の保険非適用はなんと1927年当時の制度が元凶だった
●一律の現金給付の一時金は低所得層の負担感を増大させる、保険適用で公平化を図るべき