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日銀正副総裁人事案の評価と市場・経済の今後

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第270回】 2013年2月27日
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黒田総裁と岩田副総裁
正・副反対なら満点に近い

 注目の日銀の次期正副総裁に関する政府の人事案が発表された。既報の通り安倍首相は、総裁には黒田東彦アジア開発銀行総裁、副総裁には岩田規久男学習院大学教授、中曾宏日本銀行理事を起用する意向だ。

 理想を言うと、黒田氏と岩田氏の正・副が反対なら、満点の人事だった。市場関係者から「最も株価が上がる総裁候補」と見られていた岩田氏が総裁なら、「これまでのやり方を変える」というメッセージが、より明確になったはずだ。

 財務省出身だが次官経験者ではない黒田氏の名前が噂に上った段階では、財務省は副総裁ポストを取ることで満足する方針なのかとも思ったが、財務省は今回総裁ポストを取ることができてそれ以上に満足だろうし、政治的には麻生財務大臣の顔も立つ。

 黒田氏は、財務省の中では過去の日銀の政策に批判的な方だった。一応、安倍首相と意見を同じくする人という条件には合致する。また、国際金融関係の仕事が長いので、外国の通貨政策関係者とのやり取りはスムーズだろう。

 とはいえ財務省出身なので、少なくとも「傍目からは」、財務省の意を受けて将来緊縮的な政策に傾くのではないかという懸念が伴うし、“国際派”は外国からの圧力に弱いのではないかといった心配もないではない。

 市場を相手にする日銀の役割を考えると、人事が与えるイメージも政策のうちなので、目下「財務省出身」はマイナスポイントだと評価せざるを得ない。

 筆者は、日銀法改正に対してどう意見表明するかによって黒田氏の評価を決定するのがいいと考えている。

 国会で所見を問われた際に、「政策目標は政府が与えるもので、中央銀行の独立性とは手段の独立性だ。このことを将来共々はっきりさせるために、日銀法の改正は必要であり、そうするように強く要望する」と堂々と述べるなら、黒田氏は人物として「本物」だ。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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